連邦警察(PF)は28日、現役や予備役軍人が結成した秘密組織が、最高裁判事や連邦議員を含む特定の公職者を監視・暗殺する目的で会社を設立し、表向きは民間警備会社として組織的に違法行為を行っていた疑いがあると発表した。捜査では手書きの料金表も押収され、最高25万レ(約636万円)だったと同日付ブラジル247などが報じた。 これは汚職捜査の一環「シサンネス作戦」において発覚した。この名称はペルシアの神話に登場するシサンネスという腐敗した裁判官に由来し、司法機関における汚職事案、とりわけ判決の売買に焦点を当てた捜査が行われている。 ロベルト・ザンピエリ弁護士が2023年12月に銃撃され死亡した事件を端緒に進められたもので、彼は司法関係者への贈収賄をめぐる捜査の中心人物だった。 PFによると、同組織は「コマンドC4(共産主義者・腐敗者・犯罪者討伐司令部)」を名乗り、監視や契約殺人を請け負う犯罪組織として機能していた。スパイ活動の手段としてドローンや売春婦を利用していたことも判明している。 捜査過程で、最高裁判事や連邦議員を含む複数の公職者の名前が記された手書きの料金表が押収された。最高裁判事に対しては最高額の25万レの報酬が設定され、上院議員は15万レ、下院議員は10万レ、一般市民は5万レアルの料金が記されていた。この価格表は監視活動に対する報酬である可能性が指摘されているが、殺害実行を含む可能性も捨てきれないとして捜査が続けられている。 摘発により、予備役陸軍大佐エテヴァルド・カサジーニ・デ・ヴァルガス容疑者が逮捕され、彼の自宅から料金表が押収された。同容疑者はすでに州裁判所の決定により拘束されており、今回の事件に関連して最高裁からも逮捕令状が出されている。 さらに他の4人の関係者にも逮捕令状が発出されているが、氏名は公表されていない。電子監視や家宅捜索も同時に行われている。 今回の捜査結果は、全国法務審議会(CNJ)にも通報されており、ザンピエリ氏の携帯電話から抽出されたデータにより、上級裁判所の職員に対する不正な利益供与の実態も明らかになった。 PFの発表によると、組織は契約内容を被害者の職位に応じて作成し、犯罪計画は政治家や裁判官などの社会的地位に基づいていた。同組織の記録には、前上院議長ロドリゴ・パシェコ氏の名前も「関心のある標的」として記されており、現在その監視の範囲や動機については資料の精査が進められている。 この事件はブラジルの司法制度に対する深刻な脅威として位置づけられ、最高裁の監督のもとで厳正な捜査が継続されている。