ウイルスに感染したという偽の警告をパソコンの画面に表示させ、復旧代金名目で金銭をだまし取る「サポート詐欺」に関与したとして、警察庁は30日、共同捜査するインドの警察当局が同国籍の男性6人を詐欺容疑などで逮捕したと発表した。海外当局との共同捜査によるサポート詐欺の摘発は初めて。 この詐欺グループは2023年8月~25年2月に、28都道府県の約200人から計約1億8000万円をだまし取ったとみられる。 警察庁によると、逮捕された6人はいずれも20代で、実行役の主要メンバーとされる。インド警察がデリーや北部のハリヤナ州、ウッタルプラデシュ州などの19カ所を家宅捜索し、28、29日に逮捕した。 拠点のうち二つは、ウイルスに感染したと思い込んだ被害者が日本からかけてくる電話を受ける「コールセンター」だった。6人の中には日本語を話せる容疑者がいるとみられ、「相手の日本語がたどたどしかった」と話す被害者もいた。 代金支払いの9割以上は、電子マネーのギフトカードを購入させていた。被害者の大半は50~70代で、インターネットバンキングで2000万円を送金させられたケースもあった。 一般財団法人「日本サイバー犯罪対策センター」がネット上で収集したサポート詐欺の情報をマイクロソフトに伝達。同社が分析し、容疑者らの情報を警察庁とインド警察に提供した。 警察庁は4月、国内の被害情報をインド警察と共有。警察庁サイバー特別捜査部が仮想通貨(暗号資産)を追跡して、逮捕された6人のうち被害金の受領を担っていたとみられるカピル・ガカール容疑者(28)を特定した。 警察庁によると、24年の国内のサポート詐欺被害は1524件で、被害額は計約10億円に上る。一方で、24年の摘発は1件のみだった。警察庁の担当者は「日本サイバー犯罪対策センターとマイクロソフトの協力があって立件できた。新しい捜査の形で、海外を含めて連携を続けていきたい」としている。【山崎征克】