鹿児島県警の元生活安全部長が情報漏えいの疑いで逮捕されてからあす31日で1年です。元部長は情報漏えいではなく県警の不祥事を明らかにするための「公益通報」と主張していて、今後裁判で争われます。 これまでの経緯を踏まえ専門家は「裁判の結果は今後の公益通報制度に影響する」と話します。 去年の5月31日。県警は定年退職した元生活安全部長・本田尚志被告を、警察の内部情報を記者に漏らした国家公務員法違反の疑いで逮捕しました。 (記者)「本田容疑者を乗せたとみられる車が鹿児島地検に入る」 記者に送られたのは10枚の文書です。1枚目には「闇をあばいてください」と書かれ、内容は当時まだ公表されていなかった枕崎警察署員による盗撮事件や霧島警察署員によるストーカー事案などで、「元刑事部長が不祥事の隠蔽を指示した」という趣旨でした。 (文書を受け取った 小笠原淳記者)「これはいわゆる内部告発だろうとわかりました」 ■県警は去年4月、本田被告を逮捕 県警は去年4月、別事件の捜査で福岡のウェブメディアを家宅捜索した際に文書を発見。その中にストーカー事案の被害女性の個人情報が含まれていたため「職務上知り得た秘密を漏らした」として本田被告を逮捕しました。 (県警 西畑知明警務部長)「関係者や県民のみなさまに深くお詫び申し上げます」 文書では「隠蔽を指示した」人物は「元刑事部長」となっていましたが、本田被告は逮捕後の裁判手続きで「隠蔽を指示した」人物は「野川元本部長」と主張。 警察官の不祥事に対して「最後のチャンスをやろう」「泳がせよう」などと捜査を進めなかったとし、「公開し説明すべきと思ったが明らかにされなかった」と「情報漏えい」ではなく「公益通報」と主張しました。 (県警 野川明輝本部長(当時))「私が隠蔽の意図を持って指示したことは一切ない」 一方、本部長は「隠蔽」を否定。県警はその後、本田被告の動機について「同期だった元刑事部長をおとしめるためだった」とし、「公益通報にあたらない」と説明しました。