いま、一部の悪質なホストをめぐる問題が社会問題に発展している。 借金返済のため女性客を性風俗店に紹介したり、海外売春を強要するケースも多発し、逮捕者も出ている。そんな状況を受け、5月20日に衆議院本会議で可決・成立したのが改正風俗営業法だ。 最大のポイントは“色恋営業”の禁止。色恋営業とは恋愛感情につけ込み客を困惑させ、飲食をさせる行為。例えば、客が自分に恋愛感情や好意があるのをわかったうえで「売上トップになれなかったら、もう会えなくなる」などと伝え、お金を使わせるのはNGとなる。 実際にお店で働くホストたちは色恋営業禁止をどう受け取っているのか。取材に応じてくれた池袋にあるホストクラブ「Aravan Lilian」の現役ホスト、枢木蓮さん、竜星さん、霜月逢夢さんらは戸惑いを口にした。 枢木さんが「法で感情ってものが出てくるんだなと、最初の率直な感想」と切り出すと、竜星さんは「『会えて良かったよ』とか言って、それが好きって受け取られたらもうどうしようもできない」と、相手の受け取り方次第だと発言。 さらに枢木さんが「曖昧すぎる。もっと明確に条件を定めてくれないとわからないし。男女って一緒にいたら好きにならん?」と疑問を投げかけると、竜星さんは「こういうワードを言っちゃダメとか」と、明確な条件の必要性を訴えた。 さらに、逆に女性客に悪用されてしまうのではないかという不安もある。霜月さんが「悪いホストもいれば悪い姫(客)もいるので、どっちも存在している」と明かすと、竜星さんは「『明日会ってくれないと私お店行かない』とかね」と話した。枢木さんは「難癖じゃないけど“当たり屋”的に摘発される人は出てくるのかな」と語った。 また、竜星さんは「キレイぶっているわけじゃないけど、僕は“色恋営業”はしないので。僕からしたら痛手はないけど、ホストは8割方が“色恋営業”だと思うので、厳しくなる」と今後の動向について推察した。 そもそも色恋営業なしでホストクラブは存続可能なのか。歌舞伎町に詳しい作家・佐々木チワワ氏は「色恋営業廃止したらホスト業じゃないんじゃないか、みたいなところは非常に言われていて。私自身も大金を払って『好き』すら言ってくれないホストのほうが悪質だろとは思っている」とコメント。 多額の借金を抱えた女性客に売春を強要したり、スカウトに紹介して「スカウトバック」をもらうことを禁止するのは当然としつつ「そのホストさんにお金を使いたいというのは女の子の感情だし、その結果どんな仕事を選ぶかは当人の自由ではある。その人に好かれたいとか、もっとお金を使って優先順位を上げてほしいというので、自ら夜の仕事を選ぶ子もいるので、そこは愚行権の行使であって、国が無理やり介入するところではない。かなり一個一個の事例によるのかな」と私見を述べた。 法案については「18歳からホストを始めた男の子が社会経験が無いまま、生きるためにこの仕事を選んでいる子もいる。そういう男の子をこの法案を逆手に、騙す女性が現れないとは言い切れない。若い男女を守るという意味では、この法案を使って健全な営業をしてほしい」と訴えた。 新宿歌舞伎町にある男装ホストクラブ「Re:EDEN」のホスト立夏さん、藤堂雪名さんもそれぞれの思いを口にした。立夏さんは「アイドルを応援してる、でもガチ恋になっちゃいました。借金して応援してました。『あなたのせいです』って言えないじゃないですか。まず『恋愛として自分のこと好きなの?』と聞かないといけないのか。『そういうんじゃない、気持ち悪い』と言われたらどうしようと思ってしまう」と戸惑いのコメント。 藤堂さんは「相手が自分と一緒に飲んだり、一緒に喋ったり。それで人生がうまくいったり成長するんだったら、その感謝の気持ちでくれた金銭はうれしいけど、その人が不幸になるお金はいらない」と自身の考えを語った。 (『ABEMA的ニュースショー』より)