「地面師」の舞台は地価上昇の大阪ミナミ 14億円詐取容疑の男逮捕

実在する不動産会社の代表者になりすましてうその不動産の売却話を持ちかけ、会社役員の男が計約14億5千万円をだまし取ったとされる事件で、売買の対象となった不動産は大阪市中央区の繁華街・ミナミに所在していることが捜査関係者らへの取材でわかった。 飲食店やホテルが立ち並ぶミナミでは近年、インバウンド(訪日外国人客)景気を追い風に不動産価格が上昇傾向にあり、投機目的を含めて需要が高まっている。大阪府警は、不正な不動産取引を繰り返す「地面師」グループの男らが、こうした状況に目をつけた可能性もあるとみて全容解明を進める。 捜査2課によると、大阪府東大阪市の会社役員、福田裕(ひろし)容疑者(52)=詐欺容疑などで逮捕=は住居・職業不詳の男(24)=電磁的公正証書原本不実記録・同供用などの容疑で逮捕=と共謀して昨年2~3月、大阪市中央区の不動産会社の代表者になりすまし、同社がミナミで所有するビル3棟と各土地について別の不動産会社2社と売買契約を結び、代金として計約14億5千万円を詐取した疑いがある。府警は認否を明らかにしていない。 捜査関係者らによると、各ビルはミナミのうち「心斎橋」「道頓堀」「宗右衛門町」と呼ばれるエリアにある。それぞれ1960~70年代前半に建てられた5~6階建ての店舗兼共同住宅で、土地の広さは約130~約500平方メートル。 不動産関係者らによると、一帯の不動産価格は近年、上昇傾向にある。 国土交通省の公示地価(今年1月時点)によると、各ビルに近い大阪市中央区道頓堀1丁目にある土地は1平方メートルあたり760万円で、上昇率は22.6%と関西圏の商業地で最も高かった。

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