いわゆる「地面師詐欺グループ」の男らが逮捕された事件。近年地価が高騰している大阪・ミナミの不動産に目をつけたとみられています。 濵田蘭 記者 「午前9時です。福田容疑者を乗せた車が大阪府警本部から出てきました」 6日朝、詐欺の疑いで送検された、東大阪市に住む会社役員の福田裕容疑者(52)。被害金額は約14億5000万円にのぼります。その巨額詐欺事件の手口が、「地面師詐欺」ー。 「地面師詐欺」とは、土地や建物の所有者になりすまして、架空の不動産売却を持ちかけ、代金をだまし取る詐欺のこと。 記憶に新しいのは2017年、大手住宅メーカー「積水ハウス」が約55億円もの被害にあった地面師詐欺事件です。去年には事件をモチーフにしたドラマが作られました。 警察によりますと、今回の事件で「なりすまし」の対象となったのは、大阪市にある不動産会社の代表の女性(70代)です。指示役とされる福田容疑者は、実行役やなりすまし役をサポートする立場など、グループの中で細かく役割をわけていました。そのうえで、別の不動産会社を経営する男性2人に、ウソの売却話を持ちかけ、約14億5000万円をだまし取った疑いがもたれています。 なりすましの細かい手口も明らかになってきました。去年1月、70代のなりますし役の女性と60代のサポート役の女は、偽造された免許証などを用いて、不動産会社の代表の女性の印鑑登録を勝手に変更しました。さらに…。 山口佐助 記者 「粂(くめ)容疑者は、去年1月、大阪法務局で自身が不動産会社の代表取締役であるとのウソの商業登記をしたということです」 印鑑登録証明書は代表取締役の変更をするために使われたとみられています。 こうした偽装工作を経て、去年2月から3月、被害にあった男性の会社の応接室で、福田容疑者と粂容疑者は売買契約を行いました。その場には司法書士などもいましたが、偽装は見破れず、14億円余りの代金は ほぼ現金で受け取ったということです。 その後、カギの引き渡しがなかったことで詐欺被害が発覚しました。なりすまされた会社代表の女性は、読売テレビの取材に対し…。 不動産会社代表の70代女性(吹き替え) 「福田容疑者も粂容疑者も全く知らない。勝手にやられて迷惑している」 そして今回、詐欺取引の舞台となった3つのビルがあったのは、大阪・ミナミ。いずれも5階〜6階建ての店舗兼集合住宅でした。 こうした物件が狙われる背景について専門家は…。 不動産鑑定士・磯尾隆光さん 「大阪の場合はインバウンドが顕著。いったんはコロナによって下がったが、回復基調で急騰している。20%以上の上昇を見せている」 警察は福田容疑者らの認否を明らかにしていませんが、こうしたミナミの地価上昇を見越した不動産取引の活発化に目をつけ犯行に及んだとみて、だまし取った金の行方など事件の全容解明を進めています。