午前10時過ぎ、大阪府池田市の小学校に男が侵入した。その手には出刃包丁が入った袋。男は誰にも咎められることなく2年生の教室に向かうと、教員が不在だったそこで5人の児童に出刃包丁を突き立てた。そして次には、隣の教室、その隣の教室でも……。 児童8人が命を奪われ、児童13人と教諭2人が負傷した「附属池田小事件」が発生したのは、2001年6月8日のことだった。 駆け付けた警察に現行犯逮捕された男は宅間守(37=当時)。子供を狙った卑劣極まりない犯行はもちろん、要領を得ない発言と不遜な態度で世間の激しい怒りを買ったことはまだ記憶に新しいだろう。 宅間は第一審の死刑判決に対する控訴を自ら取り下げ、死刑を確定させた。だが、供述調書を入手したジャーナリストの今西憲之氏によれば、宅間は逮捕後の3日間、精神障害を装う演技を続けていたという。捜査官が演技を見破るきっかけを作ったのは、宅間に向けられた世間の怒りだった――。 (全2回の第1回:「週刊新潮」2005年6月16日号「1200枚の『供述調書』が語る池田小『宅間守』自白までの3日間」を再編集しました) ***