おととし(2023年)12月、岡山県倉敷市の住宅で夫婦が刃物で襲われ死傷した事件で、実行犯として殺人などの罪に問われている男の裁判員裁判が、岡山地裁で6月9日に始まりました。 ■刃渡り約22センチの刺身包丁で殺害 丸刈りに、上下黒のスーツ姿で法廷に現れた男。殺人などの罪に問われている、岡山市の元アパレル業の男(27)です。 起訴状などによりますと、元アパレル業の男(27)は2023年12月、倉敷市の住宅で、男性(当時57)を刃渡り約22センチの刺身包丁で刺し殺害した上に、男性の妻に重傷を負わせたとして、被害にあった夫婦の長男で知人の男(30)とともに殺人の罪などに問われています。 知人の男(30)が指示役、元アパレル業の男(27)が実行役とされています。 初公判で元アパレル業の男(27)は、「間違いありません」と起訴内容を認めました。弁護側も事実関係を争わず争点は量刑に絞られました。 なぜ男(27)は、知人の親を殺害するという凶行に及んだのか…。裁判ではまず、事件に至るまでの経緯が説明されました。 ■異業種交流団体で出会った2人 不倫の相談などを通じて親しく… ※以下は弁護側の主張 島根県に生まれた男は3歳の時、両親が離婚し母と生活するようになりました。 高校は地元の野球の強豪校に進学。3年生の時には県大会で優勝し、甲子園出場を果たしました。野球を続けるため大学に進学するも1年で中退。地元に戻り、塗装工や大工の仕事をするようになります。 その後、結婚し、子どももできますが、離婚。大工をしながらスーツを仕立てる仕事の勉強をして、のちに岡山市内にスーツを仕立てる「テーラー」を開業します。 2021年、男が24歳の時、岡山市の異業種交流団体に入会し、今回殺害された男性の長男と知り合います。 3歳年上のこの長男の男は、倉敷市内にあるガラス関連の会社で役員をしていましたが、元アパレル業の男に様々な不満を打ち明けるようになります。 「キャバクラでの経費の無駄遣いについて、上司である両親からたびたび注意されていること。会社名義のクレジットカードを両親に取り上げられたこと。不倫相手と結婚しようと考えているが、両親に反対されていること。不倫相手に月々約30万を手渡していて経済事情が苦しいこと。自分が社長になれば会社の金を自由に使えること…」などです。