フィリピン弾劾裁判所設置直後に審理を下院に差し戻し サラ・ドゥテルテ副大統領訴追で

フィリピンでサラ・ドゥテルテ副大統領を裁く弾劾裁判所が10日、上院に設置された。この日ただちに開廷された裁判は、弾劾を決めた下院に審理を差し戻した。先月の中間選挙で改選された下院に、訴追が合憲であることの確認を求めている。 弾劾では、上院議員の3分の2以上の賛成で罷免が決まる。しかし、中間選挙では、ドゥテルテ派とマルコス大統領派の勢力が上院で拮抗(きっこう)する形になっていた。 サラ氏の父親のドゥテルテ前大統領は、政権時に数千人の死者を出したとされる薬物犯罪取り締まりを巡って中間選挙前に逮捕され、国際刑事裁判所(ICC)に身柄を移送された。この結果、ドゥテルテ家への支持と同情がかえって高まったもようだ。 フィルピンでは近年、マルコス、サラ両氏の関係が悪化。サラ氏は、マルコス氏への殺し屋を雇ったとの発言を巡り、今年2月に下院で弾劾訴追されていた。サラ氏は次期大統領選の有力候補と目されているが、罷免されれば出馬が難しくなるため、今後もマルコス派とドゥテルテ派の争いが続きそうだ。(岩田智雄)

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