「人を殺したかった」82歳男性殺した元自衛官が吐露した衝撃の願望 初公判で真意語るか

「人を殺したかった」。現役自衛官による衝撃的な供述から約1年半、事件の舞台は法廷へと移る。京都市のマンションの階段で令和5年12月、住人の高齢男性の背中を刃物で刺すなどして殺害したとして、殺人罪などで起訴された元自衛官の水島千翔(ゆきと)被告(22)の裁判員裁判が11日、京都地裁で始まる。逮捕がなければ、次の事件を起こしていたと発言したとされる被告。その「殺人願望」は本物なのか。法廷での言動が注目される。 公判では被告の犯人性は争われず、量刑が争点となる見通しだ。 事件は5年12月3日夜に起きた。京都市東山区にあるマンションの階段踊り場で、背中から血を流し倒れている男性=当時(82)=を別の住人が見つけ119番。男性は搬送先で死亡が確認された。背中には複数の傷があり、死因は失血死。傷の一部は心臓に達し、強い殺意がうかがえた。 周辺の防犯カメラなどから関与が浮上したのが、勤務先の陸上自衛隊祝園(ほうその)分屯地(京都府精華町)から所在不明となっていた水島被告だった。事件から1週間後の12月10日、東京都内の宿泊施設から出てきた被告を捜査員が発見し、身柄を確保。所持していたリュックサックからは包丁1本も見つかった。 しかく「大柄な男性以外を狙った」 公判では動機の解明も焦点となる。京都府警によると、被告は捜査段階で容疑を認め、「(相手は)誰でもよかった」と供述。事件について「反撃されない、大柄な男性以外を狙った」と述べ、「逮捕されていなければまた人を殺すつもりだった」と話したという。 事件現場では数万円が入った男性の財布が見つかり、無施錠だった男性宅も荒らされた形跡はなかった。金銭目当てではなく、殺害そのものが犯行の目的だったとする供述と矛盾はしない。 被告は令和3年に陸上自衛隊に入隊。4年からは祝園分屯地に勤務し、弾薬の保管や整備などの業務に当たっていた。陸自によると勤務態度に問題はなく、トラブルは確認されなかったという。陸自は昨年5月、被告を懲戒免職とした。 京都地検は昨年4月、約3カ月半の鑑定留置の結果を踏まえ、被告の刑事責任能力を問えると判断し、殺人と銃刀法違反の罪で起訴した。(木下倫太朗、塚脇亮太)

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