払う必要のない学費を奨学生から詐取したとして日大重量挙げ部元監督が逮捕された事件で、難波謙二容疑者(63)がコーチに対し、通勤時に車で送迎させるなどしていたことが11日、捜査関係者への取材で分かった。 警視庁捜査2課は、難波容疑者が監督としての絶対的な立場を利用し、コーチを事件にも関与させたとみて調べる。 捜査関係者によると、難波容疑者は部の複数のコーチに、東京都狛江市の自宅から40キロ近く離れた神奈川県藤沢市の大学キャンパスまで車で送り迎えをさせていた。大学到着時などに出迎えてあいさつさせたり、弁当を買いに行かせたりもしていた。 意見を言うコーチを厳しく叱責することもあったといい、人事権を持つ監督にコーチは逆らえない状況だったとみられる。 難波容疑者は、入学金や授業料などの一部または全額が免除される奨学生の保護者に対し、入学時の大学側への納付金を水増しした請求書を送付し、205万円を詐取したとして逮捕された。 同課などによると、難波容疑者の指示を受け、40代のコーチが水増し額などを決めて請求書を作成。奨学生の保護者に同部の口座に振り込ませた金の一部を同容疑者に渡し、残りを奨学生の名義で大学に振り込んでいた。同容疑者が送付前の請求書を確認することもあったという。 一方、難波容疑者は同課に対し、「寄付金として保護者の了解を取り付けて、もらったお金という認識だった」と話し、容疑を否認しているという。