厚生労働省から委託事業費をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は12日までに、詐欺容疑で、コンサルティング会社「ランゲート」(京都市)の元社長大中忠生(63)=京都府向日市上植野町、同社元役員西村崇(54)=滋賀県草津市西矢倉=両容疑者を逮捕した。 大中容疑者は「全くの事実誤認」と容疑を否認し、西村容疑者は認めている。 厚労省はほかにも2件、同様の手口で委託費を詐取されたなどと刑事告訴しており、同課は実態解明を急ぐ。 逮捕容疑は2021年4月1日に厚労省から受託した職場環境の改善支援事業の委託費計3億6300万円のうち、返還する必要があった計約4164万円に関し、請求額を水増しするなどし、詐取した疑い。 同課によると、大中容疑者らはポスターの印刷や人材の派遣を依頼する際、取引先に対し、同容疑者が管理する実態に乏しい2社に請求書を送るよう依頼。2社の名義で金額を水増しした請求書を作って厚労省に提出し、実際には余っていた委託費の返還を逃れていた。 厚労省は昨年7月、同容疑者らに委託した3件の事業で不正請求の疑いがあるとして、警視庁に相談をした。同課は同12月、同社などを家宅捜索していた。 同社は19~23年度に厚労省などの192事業を受託し、82億円以上の委託金を受け取っている。 ランゲート社は「詳細は分かりかねるので、コメントを差し控える」としている。