原口アヤ子さんが98歳の誕生日 無実を訴え4回再審請求も認められず 再審制度を記者解説

46年前に起きた「大崎事件」で殺人などの罪で服役し一貫して無実を訴えている原口アヤ子さんが15日、98歳の誕生日を迎えました。そのお祝いの場には同じく再審=やり直しの裁判を求め続けた袴田巌さんの姉袴田ひで子さんの姿がありました。 ●袴田ひで子さん 「ひで子だよ。分かる?分かる?」 原口アヤ子さんは15日、県内の介護施設で98歳の誕生日を迎えました。 1979年、大崎町で親族と共に義理の弟を殺害し死体を遺棄したとして懲役10年の実刑判決を受けましたが、事件当初から一貫して無実を訴えています。 病室のアヤ子さんを訪ね、激励した袴田ひで子さんは、去年、再審=やり直しの裁判で死刑判決からの逆転・無罪判決を勝ち取ったえん罪被害者=袴田巌さんの姉です。 ●袴田ひで子さん 「巌、無罪になったの。おかげさまで。だからアヤ子さんも頑張って、無罪になるように」 言葉こそ、発することはできませんが、その表情と、わずかに持ち上がる首の動きで袴田さんの声に応えていました。 ●袴田ひで子さん 「声を出そうと思っているのね。だからその声が聞こえる。本当によかった。こういう被害者がたくさんいるっていうことをそれを国はよく考えていただきたいと思う」 スタジオには取材した北記者です。原口アヤ子さんの表情、笑顔のようにも見えましたね。 ■北遥希記者 病室は和やかな雰囲気でした。ただ、原口アヤ子さんのこれまでを振返ると、1979年の事件発生当初から無実を訴えていましたが、逮捕され、懲役10年の実刑判決を受けました。服役後に裁判のやり直しを求める=再審請求を4回に渡って行っていますが、いずれも認められませんでした。 過去4回の再審請求では地裁で2回、高裁で1回再審が認められましたが、いずれも高裁や最高裁で退けられています。 2004年12月福岡高裁宮崎支部が鹿地裁の再審開始決定を破棄。 ●原口アヤ子さん 「やってない罪を受けることはできない、必ずいつか無実であることが分からないはずはない」 そしてきのうはその再審制度のあり方を問う集会もありました。 ●大崎事件弁護団 鴨志田祐美弁護士 「もうこれから法改正が遅れたらどんどん無実を晴らせないまま命が尽きてしまう人が増えてしまう絶対にそんなことがあってはならない」 大崎事件の弁護団のひとり、鴨志田弁護士が求めるのは再審=やり直しの裁判にに関わる制度の改正です。アヤ子さんの98歳という年齢を踏まえ、法改正は「死活問題」と訴えました。 なかでも弁護団らが強く唱えたのは「証拠の開示」です。 参加者の1人。自宅に放火し娘を殺したとして無期懲役の判決を受けたのち無罪となった青木恵子さんも「証拠開示」についてー ●えん罪被害者青木恵子さん 「(えん罪被害者が)無実になれます警察が良い証拠を全部にぎってるんですからこれを崩さないと」 弁護団は再審法の改正を求めながら5度目の再審請求に向けて具体的な内容や時期を検討しています。 この集会を含め15日はさまざまな声が聞かれました。 例えば、・4回目の再審請求も棄却されたものの最高裁の裁判官5人のうち1人は「再審を認めるべき」と判断していること。これを重く受け止めて欲しいという声や警察の証拠開示が不十分だった歴史からやはり「再審制度を見直すべき」というもの。「迫る参院選でどの政党がどう判断しているか注視したい」という声もありました。 私自身も記者になるまで「えん罪」や「再審制度」について自分に関係のある話として考えたことはありませんでした。でも、例えば家族がある日突然いわれのない罪に問われたら…、やはりやり直しの裁判を受ける権利は必要だと感じます。 「大崎事件」の行方を今後も注視したいと思います。

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