訓練中の自衛官候補生が銃で男性隊員3人を死傷、発生から2年も公判始まらず動機不明

京都市のマンションで令和5年12月、住人の高齢男性を刺殺したとして、殺人などの罪に問われた元陸上自衛官の水島千翔(ゆきと)被告(22)の公判が京都地裁で開かれている。陸自では同年6月にも、訓練中の自衛官候補生の男=懲戒免職=が男性隊員3人を銃で撃って死傷させる事件があった。発生から2年が経過したものの、公判は開かれておらず、詳細な動機は不明のままだ。 事件は5年6月、岐阜市の陸自日野基本射撃場で起きた。防衛省が作成した報告書などによると、自衛官候補生だった男は射撃訓練中、候補生に1丁ずつ配られる「89式5・56ミリ小銃」を所持し、上官の指示がないにもかかわらず弾薬を装填(そうてん)。隊員3人に対して小銃を向け計4発発射した。この結果、隊員2人が死亡、1人が重傷を負った。 強盗殺人罪などで起訴された男は逮捕後の調べに「銃と弾薬を持って外に出たかった」と供述。事件発生直後には「弾薬を奪おうと思った。犯行はその日に思いついた」と説明していた。 事件を受けて陸自は、隊員のメンタルヘルス対策を目的とした「アフターケアチーム」を設置。複数回のカウンセリングなどでメンタルヘルス対策を進めるとした。 元陸将補で軍事研究家の矢野義昭氏は、京都での事件などを踏まえ「もう一度原点に戻り、部隊としての団結や士気を高め、仲間どうしの信頼を構築することが重要だ。カウンセラーら外部からの支援を強めることも一つの手と考える。さまざまな角度から隊員を見守ることが対策につながるのではないか」と述べた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加