福島県いわき市水道局の工事入札を巡る官製談合事件で、職員に外部の人間から不正な働きかけがあった際に義務付けられている記録や報告が、関連する要綱を定めてからこれまで1件もなかったことが21日、水道局への取材で分かった。職員アンケートでは不正行為につながるような要求を受けたことがあるとの回答があり、内部統制が十分に機能していなかったとみられる。 要綱では、外部の人間から職員に入札情報などを聞き出す働きかけがあった場合、主体や内容などをまとめ、所属長に報告することを明記している。水道局は2008年にこの要綱を制定、毎年度の初めに、職員に通知していた。しかし、官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された水道局工務課技術主任、真山佳幸容疑者(34)をはじめ、これまで報告は1件もなかった。 情報漏えいの疑惑を受け、水道局が設置した調査確認委員会による職員アンケートでは2割超の職員が、外部の事業者や業界団体、職員OBなどから不正行為につながるような要求を受けたことがあると回答。対応が組織として徹底されていなかった。