兵庫県警高砂署は22日、高砂市の会社員男性(34)が、福岡県警の捜査員を名乗る男らから「携帯電話の不正契約をしている。本来なら逮捕」などと迫られ、1334万円をだまし取られたと発表した。自身の携帯電話に連絡があった番号が福岡県警本部の回線と同じで、頭に国際電話を意味する「+1811」が付いていたが、男性は「特別な回線」と思ったという。高砂署が特殊詐欺事件として調べている。 同署によると、5月16日、通信関連会社の職員をかたる男から「あなたの携帯電話から多数の迷惑メールが送られている。福岡県警と緊急回線をつなぐ」と言われた。切った後、捜査員を名乗る男から電話があり、メッセージアプリのダウンロードを指示された。 男性はアプリのビデオ通話を通じて、男と対面。画面上で福岡県警本部の電話番号が載った公式ホームページを見せられ、「+1811」以外の数字が直前に出た電話番号と一致したため、男が捜査員と信じた。 その後、検察官を名乗る男から「保釈金がいる」などとメッセージが入り、男性は消費者金融に借金するなどして同19~20日に計1334万円を指定口座に振り込んだという。 その後、男性が捜査員をかたる男に電話してもつながらず、今月22日になって福岡県警本部の正規の電話番号にかけると、「詐欺」と指摘された。同本部から連絡を受けた高砂署が男性に来署を求め、被害届を受理した。 特殊詐欺の対策サービスを提供するトビラシステムズ(名古屋市)によると、発信番号を警察になりすます「スプーフィング」という手口で、全国で多発しているという。