武藤容治経済産業相は24日の閣議後記者会見で、化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件を巡り、勾留中に死亡した元顧問の相嶋静夫さん(享年72)に対し「(事件を)大変重く受け止めている。改めておくやみを申し上げたい」と述べた。冤罪の一因となった外為法に関する警察や検察側の独自解釈については、「省令や通達などの改正を含めて必要な対応を検討する」と語った。 大川原化工機の社長ら3人は、2020年3月に外為法違反(不正輸出)で逮捕・起訴され、約1年4カ月後の初公判4日前に起訴が取り消された。相嶋さんは約11カ月に及ぶ勾留中に胃がんが見つかり、被告のまま死亡した。 同社は21年9月、逮捕・起訴が違法だったとして東京都と国に賠償を求めて提訴。今月11日に警視庁と東京地検が上告を断念し、違法捜査と認定した東京高裁判決が確定。同20日には、警視庁の鎌田徹郎副総監と東京地検の森博英公安部長が同社を訪れ、謝罪していた。相嶋さんの遺族はトップの謝罪ではなかったため、同席しなかった。 武藤氏によると、経産省の福永哲郎・貿易経済安全保障局長が18日に大川原化工機を訪問。弔意を伝えるとともに「外為法の規制内容の明確化を経産省の責務として進めていくことをお伝えし、省令や通達などの改正に協力を(同社に)お願いした」という。改正時期のめどについては「できるだけ速やかに対応する」とした。【中島昭浩】