「その下着の色はヤバい」小6娘を男性教諭が指導。教育現場で起こり得る「学生らしく」という「スクールセクハラ」【専門家解説】

子どもに対する性犯罪報道を見ない日がないほどその被害状況は深刻だ。盗撮した女子児童の下着の画像をSNSで共有した疑いで名古屋市の小学校教諭が逮捕されたのは、つい先日のこと。今後の捜査の行方に注目が集まっている。 「文科省によると、児童生徒性暴力等により教員免許状が失効などとなった『特定免許状失効者』の合計は過去40年で2,498件だといいます」 こう話すのは危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏。 「教員らの性犯罪歴を確認する『日本版DBS』の導入に向けて、こども家庭庁が初会合を開催したばかりですが、学校内での『スクール・セクハラ』も以前から問題視されており、こちらの改善についても期待したいところです」 今回、取材に応じてくれたのは、ある地方都市で一女を育てる女性。娘が小学校6年生だった当時、着けていた下着の色のことで男性教諭から指導を受けたという。 ちなみに2022年、文科省は教員が生徒指導を行う際の手引書「生徒指導提要」の改定版を公開して「ブラック校則」の見直しを促進した。同年、東京都立の196の学校では「下着の色の指定」を含む5項目の校則が撤廃され、全国的にこの動きは広がっている。 「ある日女性は帰宅した娘から、透けて見えたハーフトップについて担任の男性教諭が『その下着の色はヤバい』と指摘してきたとの報告を受けたそうです。女性は学校側に『行き過ぎた指導ではないか』と抗議しました」 この女性の娘が通っていた小学校には明確な校則はなかったものの、服装などに関する「不文律」は多数存在していた。 「学校側は『身に着ける物全体的に華美にならないよう『学生らしく」と呼びかけてはいるが、下着の色の指定は決してしていない』と説明。この教諭の行き過ぎた指導だったと認めたそうです」 しかし、この一件以来、娘の担任教諭の動向が気になって仕方がなくなったという女性。 「この教諭は日頃から女子生徒の髪型や服装に『似合う』『それは露出が多い』など、個人の主観を述べることがあったといい、その点についても女性は学校に改善を求めました」 女性は教諭に対する警戒心が強くなりすぎている自覚があったが、自分自身が中学生時代、体育教師からスクール・セクハラを受けた過去がそうさせているかもしれないと話す。 「女性は中学生だった当時、体育教諭から呼び出され『下着の色が派手すぎる』と指導されたそうです。しかし、この時に受けたのは口頭による指導だけではなかったといいます」 この教師は、他にも同じような指導を何人もの女子生徒にしていたことが後でわかったが、当時は学校でも保護者間でも何の問題にもならなかったという。 「その出来事は女性の中でトラウマとなり、その過去がある分、娘の出来事に対しても過敏になったようです。とはいえ、指導の意図があっても、下着の色に言及するのはやはり行き過ぎではないでしょうか」と平塚氏。 日本でハラスメントへの意識が高まってきたのは比較的最近のこと。女性が中学生だった当時には、まだそのような考えは浸透していなかった。女性はこう述べた。 「私は当時、体育の先生にされたことを相手が悪いと思いませんでした。自分が悪いことをしたのだと言い聞かせられたため、むしろ親にまで注意が行くことを恐れるばかりで、性被害だなんて少しも思わなかったんです。いま振り返ると、とんでもない人権侵害だったと思います」 【関連記事】「体操着に手を入れたかと思ったら…」かつて体育教師が私にやったこと。娘を持つ今だからわかる「スクールセクハラ」の罪深さ では、今では女児の母となった女性がかつて受けたスクールセクハラの全容についてレポートしている。 【聞き手・文・編集】小澤みどり PHOTO:Getty Images【出典】文部科学省:特定免許状失効者管理システムの稼働状況(令和6年)

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