安倍元首相銃撃から3年 山上被告の伯父、真相は「二審以降」 弁護団の「お涙ちょうだい」方針を猛批判

安倍晋三元首相が参院選の街頭演説中に奈良市で銃撃されて死亡した事件は、8日で発生から3年を迎えた。殺人罪などで起訴された山上徹也被告(44)の父親の兄で、元弁護士の伯父がスポニチ本紙の取材に応じた。弁護団への怒りから、奈良地裁で10月28日に決まった初公判を傍聴するつもりがないことを明かした。 自民党公認候補の応援演説で駆けつけた近鉄大和西大寺駅前で、安倍氏が撃たれてから3年。当時と同じく参院選の真っただ中、自宅近くでも候補者の声が響き渡る。当時を思い起こすのでは?との問いかけに、伯父は「特に意識することはない」と淡々と話しつつ「ただ…」と口を開いた。 逮捕後、山上被告が供述で「関係が深い安倍を狙った」と犯行動機として挙げたのが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の存在。母親が総額1億円以上とされる多額の献金をし、家族が壊れてしまったと恨みを明かした。事件を契機に教会の存在が改めて社会問題化。今年3月に解散命令が出されたが、昨年10月の衆院選では接点が判明した候補者の閣僚、閣僚経験者らの敗北が相次ぐ一方で、復活当選を果たした議員もいた。そのことについては「お金をもらったという決定的な証拠がないとはいえ、もどかしい思いがある」と打ち明ける。 おいの初公判に向けては「(教会への)解散命令は事件の後に出た。事件後に判明した事実は、通常の裁判なら量刑の参考になることはない。それが裁判員裁判になった時にどうなるのかには注目している」。早ければ年内にも出る可能性がある奈良地裁判決について、弁護士の目線で見方を示した。 事件から初公判までは3年。大阪拘置所にいる被告の近況は明かさなかったが、「徹也に失礼だ」とまで憤ったのが、現在の弁護団による「お涙ちょうだい」とまでやゆする弁護方針だ。 民主主義の根幹を揺るがす世紀の事件。自らも法の世界に長く身を置いた立場として量刑にも関心はあるが、最大の関心事はこの事件や裁判が社会的にどんな歴史として後世に語られ、残るのかという考えだ。裁判で求められるのは「徹也はなぜ安倍氏を狙ったのか?そして、安倍氏はなぜ標的になってしまったのか?」という部分の究明とし、「個人的な情状酌量を求めるのは明らかに違う」と怒りが収まらないよう。 「地裁の裁判は見に行かない。意味がない。この弁護方針では(事件の真相は)はっきりしない。二審以降が本番」。事件の真相に法廷で迫れるのは、あくまで大阪高裁に場を移す二審、そしてさらには最高裁までかかるとみている。 ▽安倍晋三元首相銃撃事件 2022年7月8日午前11時半ごろ、安倍元首相が奈良市で銃撃された。参院選に立候補した自民党・佐藤啓氏の応援演説の最中だった。安倍元首相は搬送先の病院で死亡。世界でも有数の厳しい銃規制となっている日本で、首相経験者が射殺された同事件は世界中に衝撃を与えた。現行犯逮捕された山上被告の母親は旧統一教会信者で、自身の境遇に教団が大きな影響を及ぼしたと考え、安倍元首相と教団が密接な関係にあると強く疑っていたことが動機とされている。銃は手製だった。 【自民党と旧統一教会】 <2021年9月>旧統一教会の友好団体のイベントで安倍元首相のビデオメッセージ上映 <22年7月8日>安倍氏が奈良市で参院選の街頭演説中に銃撃され死亡 <8月>自民総裁の岸田文雄首相(当時)が教団との関係を断つと表明 <9月>自民が当時の所属国会議員に対する調査結果を公表。半数近い約180人に接点。教団と党の組織的関係は否定 <24年9月>安倍氏が首相当時の13年参院選前に教団トップと党本部で面会していたとの報道 <25年3月>東京地裁が教団に解散命令 <4月>教団が解散命令を不服として即時抗告。石破茂首相が、教団と関係が深いとされる世界日報の社長と過去に面会したとの報道

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