前佐々町長に有罪判決 町発注の工事巡り官製談合 長崎地裁

北松佐々町発注の公共工事の入札を巡り、最低制限価格に近い金額を業者に漏らして落札させたとして官製談合防止法違反(入札妨害)などの罪に問われた前町長の古庄剛被告(78)に対し、長崎地裁(太田寅彦裁判長)は10日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)の判決を言い渡した。 古庄被告に談合を持ちかけたとして公競売入札妨害罪に問われた同町の元会社員、山口情二被告(62)も同じく懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)とした。 太田裁判長は判決理由で古庄被告について、職責に反し、公務の公正や町民の信頼を著しく害したのは「悪質というほかない」と指摘。町内の業者に仕事を与え町の利益を図ろうとした動機は「到底正当化できるものではない」と述べた。一方、反省の態度を示し、妻が更生の支援を誓約している点を考慮し刑の執行を猶予した。 行政と業者の仲介役として談合を主導し、落札業者から謝礼を受け取っていた山口被告については「私欲的かつ身勝手な動機で入札の公正を軽視すること著しい」とした。 判決によると、古庄被告は町長だった昨年6月14日に実施した図書館照明工事の指名競争入札で、山口被告を通じて業者側に価格を漏らし、税抜き2879万3千円で落札させた。同7月26日実施の給水管改修工事の指名競争入札でも同様に価格を漏らし、業者側に同1659万円で落札させた。古庄被告は今年3月に逮捕され、4月に町長を辞職した。 落札業者の2人は公判中で、今月14日に判決が言い渡される予定。 ◎控訴の意向なし 有罪判決を受けた前佐々町長の古庄剛被告は判決言い渡し後、弁護士を通じ「皆様にご迷惑をおかけし、大変申し訳なく思っています。静かに余生を過ごしていきたいと思います」とコメントを出した。控訴しない意向という。 10日、長崎地裁の法廷に姿を見せた被告は紺のスーツにネクタイ姿。目の下まである大きな白いマスクで顔の半分を覆い、裁判長が判決文を朗読するのを静かに聞いた。 「今後そのようなこと(罪を犯すこと)が絶対ないようにしてください」。裁判長にこう説諭され、小さくうなずいた古庄剛被告。閉廷後は足早に送迎の車の後部座席に乗り込み、マスコミの取材には答えず無言のまま裁判所を後にした。

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