政府は、新型コロナウイルスの無料検査で不正が相次いだ問題を巡り、都道府県を通じて事業者に交付した補助金の返還が困難な場合の対応を検討する。 そうしたケースでは、都道府県が事業者に代わって国に対する返還分を負担する可能性が考えられるため、関係自治体から負担回避を求める声が出ていた。年内に実現の可否を判断する。 コロナ対策として創設された地方創生臨時交付金のうち「検査促進枠」は、2021年に導入。感染症法上の「5類」移行に伴い、23年に終了した。健康上の理由でワクチン接種を受けられない人や、感染の不安を感じる無症状の人が無料で検査を受けられるよう、国の交付金を財源に、都道府県が事業者に補助する制度だった。 しかし、事業者が検査件数を水増ししたり、検査費用を過大申請したりと、補助金の不正受給が相次ぎ、逮捕者が出るケースも発生。会計検査院は24年、事業費の国庫返還が発生している自治体があり、23年度末で約150億円が未返還だと指摘した。 不正を働いた事業者の中には、財産がなく補助金の返還を求めるのが難しいケースがあるとみられる。そこで、埼玉県は地方分権改革の一環として、事業者からの返還が困難な場合、都道府県による「肩代わり負担」の免除を政府に提案している。