【山田美保子のミホコは見ていた!】 今期、「大追跡~警視庁SSBC強行犯係~」(テレビ朝日系)で捜査一課の主任を好演している松下奈緒は、SSBC強行犯係の機動分析担当、大森南朋の“元妻”でもある。 劇中、規則を破って事件現場に入ってきたり、容疑者を逮捕したりする“元夫”に対し、遠慮ナシにキツイ言葉を浴びせる松下には“元妻”ならではの微笑ましさもある。 そんな彼女の演技や現場での振る舞いには、共演俳優らから絶賛の声が上がっている。シリーズ化も視野に入っていると思われる同作が松下にとって大切な作品になることは間違いなさそうだ。 このところ、連続ドラマで存在感を表しているのがこの“元妻”たちなのである。テレ朝系では4月期の「PJ~航空救難団~」で鈴木京香が内野聖陽の“元妻”役を演じたばかり。同じく4月期では、TBS系「日曜劇場 ニュースキャスター」で、阿部寛の“元妻”役だったのは相築あきこだった。 過去、もっともそのキャスティングが話題になったのは、2018年、木村拓哉主演の「BG~身辺警護人~」(テレビ朝日系)に山口智子が“元妻”役で登場し、「ロングバケーション」(フジテレビ系)以来、22年ぶりに再共演したことだろう。 同作に山口が登場したのは後半のこと。プロデューサーが木村に「(元妻役は)誰がいい?」と訊ねたのは有名な話だ。2015年、「アイムホーム」で夫役、父親役を演じた木村が、「BG~」ではシングルファザーとなったことは大きな話題となり、“元妻”が出るならば、その配役は重要なポイントの一つだったワケだ。 なぜこうも“元妻”が席巻することになったのか。最大の理由は、主人公やメインキャストの男性の人となりや癖、過去などをもっとも知る存在として描けるからだろう。続いての理由は、男臭い作品の場合、“元妻”の存在や視点が女性視聴者にとっての共感要素となり、観てもらえるから。「PJ~」の鈴木はまさにそんな役どころだった。 主演俳優がイケオジと呼ばれるような世代であればあるほど、どういう経緯で現職に就いたか、どんな恋愛をしてきたのかなどは男性視聴者も気になるものだろう。 主人公を魅力的に描く際に重要な役割を担う“元妻”役たち。そしてそれを演じる女優らには、酸いも甘いも噛み分けた人情の機微に通じる演技やオーラが必要となり、やり切った後、次なるステージが待っていることは間違いなさそうだ。今後も“元妻”たちに注目していきたい。