岐阜県は23日、同県土岐市の知的障害者支援施設「県立はなの木苑」で、職員14人が入所者の足を蹴るなどの虐待行為をしていたと発表した。入所者18人が計40件の虐待行為を受けたとされ、県は運営する社会福祉法人「岐阜県福祉事業団」に新規利用者の受け入れを9月1日から3カ月間停止する行政処分を出した。 昨年10月、同施設の40代男性職員が入所者への暴行容疑で逮捕されたことを受け、県は職員への聞き取りや見守りカメラの解析などを実施。介護職員や支援員の20~70代の男女14人が昨年7~10月、入所者18人を虐待していたことが発覚した。 県によると、職員らは食事をこぼした入所者の顔や腹を強くたたいたり、薬を飲ませる際に足を蹴ったり、廊下を歩いている入所者に体をぶつけたりしていたという。 また、転倒した入所者を放置したり、洗面中の入所者に「何回言ったらわかるんや」「自分で歯磨きできんの恥ずかしいね」などと言ったり、近付いた利用者に対して「あなたが来るとうつる。やめて」などといって体を押して振り払ったりしたケースもあった。 当時、入所者は61人、職員は46人いた。虐待行為はいずれもカメラがない居室などで行われていたという。 斉藤守弘・県障害福祉課長は23日に開いた記者会見で「入所者、家族らに大変申し訳ない」と謝罪。若井敦子施設長は「全く気づかなかった」とした上で、虐待が常態化していた可能性については「否定できない」と説明した。 県福祉事業団は、はなの木苑を含む障害者や高齢者、児童養護など県内11施設を運営する。大野雅人専務理事は「食事支援など一人の職員が同時に複数の利用者を支援する状況にあった」などと虐待が起きた要因を分析し、「職員同士の意思疎通ができておらず、人権に対する意識も低かった」と陳謝した。 今後は第三者委員会による再発防止策の策定や職員研修を行うとしている。【稲垣洋介】