「もうできません」。泣きつく女に「お前は犯罪者だ。孫に危害を加えるぞ」――闇バイト 恐怖で言いなりになった母は、息子や娘の前で一部始終を明かした〈法廷傍聴記〉

「借金があり、家族に迷惑をかけたくなかった」。傍聴席で息子や娘が見つめる中、母親で被告の50代女は終始むせび泣いていた。 警察官になりすまして鹿児島市の高齢女性からキャッシュカードを盗み、現金約82万円を引き出した。いわゆる「受け子」と「出し子」の役割を担ったとして窃盗の罪に問われた。 「警察に相談できなかったのか」。弁護人からの問いに、女は「パニックや恐怖に支配されていた」と泣きながら振り返った。 アルバイト・高時給-。約200万円の借金を抱えていた女はスマホで見つけたネット広告に目が留まった。「介護関係」とある。電話すると、男から「お年寄りの身の回りの世話をする仕事」と説明を受けた。 その後、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」でやり取りが始まった。“初仕事”として「アカサキ」と名乗る男から、無人の高齢者宅でキャッシュカードを探すよう指示があった。「おかしいかも」。違和感を覚えながらも家に入った。しかし、キャッシュカードは見つからなかった。

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