警察庁特別防犯対策監の歌手で俳優、杉良太郎(80)が24日、東京都内で行われた警察庁プロジェクトチーム「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~」(SOS47)の特別防犯支援官任命式に出席した。今回はピアニストの芥川怜子(32)と詩吟家で尺八演奏家、前田健志が新加入。芥川はニセの警官からLINEで事情聴取を受けるなど新手の詐欺で数百万円の被害に遭った悔しさを明かした。 警察庁によると、昨年の特殊詐欺の被害総額は718・8億円。一昨年から266億円増と被害が拡大する中、杉は芥川と前田を前に、「あまりにもひどい詐欺被害が続いている。皆さんと心を一つにして被害者を出さないようにしたい」と決意を新たにした。 芥川は決意表明で「私も初めて詐欺に遭った。いかに巧妙に人の心理を突いてくるか知ったし、これ以上、被害者を出したくないという思いは強い」と力説した。 被害は5月。三重県警の刑事を名乗る人物から電話があり、実際に発生した昨年のマネーロンダリング事件で、芥川が主犯格の男に自身の口座を15万円で売った可能性があると指摘された。 その後、大阪府警のニセ女性刑事からLINEのビデオ電話で事情聴取を受け、データで逮捕状が送付されてきた。さらに、ニセ検察官からも電話があり、潔白を証明するには15万円の紙幣番号を調べる必要があり、口座の全額を送金するよう指示されて数百万円を振り込んだという。 信じた理由については「実際の事件も話に出されて、本籍地などの個人情報を知っていて、実際にそれが合っていた」と説明。「親戚が元検察官ということも知っていて、逮捕されると家族に迷惑がかかるといわれて…相談した母親も疑いを持たず、自分の正義感で振り込んでしまい、自分が引っかかるとは思わなかった」と振り返った。 容疑者は海外に逃亡中とみられる。今回は複数のニセ刑事や検察官がリレー形式で電話。事情聴取や逮捕状などのパワーワードで圧力をかけられた。警察庁関係者は「LINEで事情聴取をして逮捕状を見せることはない」と断言。時代とともに巧妙化する詐欺に杉は「お金の話になったら詐欺だと思って電話を切るべき」と不変の対応策を提案した。(山内倫貴) ★杉の呼びかけで結成