性暴力を受けそうになり加害者の舌を噛み切った韓国の女性、61年越しに「無罪」求刑される

【07月25日 KOREA WAVE】61年前、自身に性暴力を加えようとした男性の舌を噛み切ったことで有罪判決を受けた韓国の女性チェ・マルジャさん(79)が、釜山地裁で開かれた再審の初公判で無罪を求刑された。検察は過去の過ちを認め、公の場で謝罪した。 釜山地裁は7月23日、傷害罪で起訴されたチェさんに対する再審の初公判を開いた。起訴事実によると、チェさんは1964年5月6日夜、自宅に帰る途中に21歳の男性から性暴力を受けそうになった際、口に入ってきた男性の舌を噛み切り、1.5センチほど切断させた。この事件でチェさんは逮捕・起訴され、6カ月の拘禁を経て懲役10カ月・執行猶予2年の有罪判決を受けた。 2020年に韓国の女性支援団体「韓国女性の電話」などの協力を得て再審請求したが、当時の釜山地裁と釜山高裁は「無罪とする明白な証拠がない」として請求を棄却。しかし、チェさんは「捜査機関による不法拘禁」を根拠に再抗告し、大法院(最高裁)は2024年、「不法拘禁に関する一貫した供述には信ぴょう性がある」として再審開始を決定した。 今回の再審で検察は「事件当時は夜間で人通りも少なく、他人の助けを期待できない状況だった。急迫かつ不当な侵害に対する正当防衛の可能性があると認められる」と説明し、「これは被害者の正当な防衛反応であり、違法性は認められない」として無罪を求刑した。 さらに検察は「当時、国家と検察が被害者を守るべきであったにもかかわらず、それができなかった。被告人に言葉では言い表せない苦痛を与えた」と述べ、頭を下げて謝罪した。 チェさんの代理人は「一人の女性が自らを守るために闘い続け、ついには社会をも動かした」と称えたうえで、「これは司法が被害者を加害者にしてしまった事件であり、もし現代の性平等社会だったらチェさんは服役もせず、加害者扱いされることもなかった」と主張した。 公判後、チェさんは「万感の思いでいっぱい。国民の皆さんの助けでここまで来られた」と語り、検察の謝罪については「まだ実感は湧かないが、今からでも過ちを認めたことに、韓国の正義は生きていると感じる」と話した。 この事件の判決は9月10日に釜山地裁で言い渡される。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加