<育て方が悪かったのでは>「子育て自己責任論」に追い詰められる性加害者の親たち。母親が悩み苦しむのに対し、なぜか父親の存在は希薄になる特徴が…

数ある犯罪のなかでも、とりわけ性犯罪の加害者家族は世間から白眼視されやすい傾向にあります。そんななか、精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳先生は、自身が所属する依存症回復施設・榎本クリニックで、これまで1000人を超える性犯罪の加害者家族と向き合い続けてきました。今回は、斉藤先生の著書『夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害者家族」』から一部を抜粋し、ご紹介します。 * * * * * * * ◆親の育て方と子の加害行為は関連しない 性加害者の親を追い詰めるのが「子育て自己責任論」です。 加害者家族に対して、しばしば「親の育て方が悪かったのでは」「親が気づいていないわけがない」という言葉が容赦なく浴びせられます。子どもが罪を犯したのは親の育て方に原因がある、と責める論調を子育て自己責任論と呼びます。 たしかに躾やマナーの文脈では、「最近の若者はマナーがなっとらん。親の顔が見たいもんだ」と語る年配者もいますが、そもそも親と子は別個の独立した存在です。 そして親の育て方と、子どもの加害行為との直接的な相関関係を示すエビデンス(証拠)は存在しません。

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