滋賀県東近江市の湖東記念病院の患者死亡を巡り、殺人罪で服役した後に再審無罪が確定した元看護助手西山美香さん（45）=彦根市=が、国と滋賀県に約5400万円の損害賠償を求めた訴訟で、西山さん側は31日、検察の違法性を認めずに国への請求を棄却した大津地裁判決を不服として大阪高裁に控訴した。 17日の地裁判決は、滋賀県警による自白の誘導や自然死の可能性を示す捜査報告書などの検察への不送致を違法捜査と認定した。一方、大津地検が西山さんの自白に任意性、信頼性があると判断して起訴したことに違法性は認められないとした。 県側は控訴しない意向を発表しており、判決で県に約3100万円の支払いを命じた部分は控訴期限の31日で確定する見通し。 再審無罪となった事案では、2003年に同病院の入院患者が死亡し、西山さんは04年に人工呼吸器を外して殺害したとうその自白をして県警に逮捕された。公判では否認したが、懲役12年の判決が確定した。服役後に再審を申し立て、20年3月に再審無罪となった。西山さんは県警と大津地検の違法捜査などを訴え、20年12月に国と県を相手に訴訟を起こしていた。