「なぜ母と兄を殺したのか…」真実語られぬまま2審も死刑 被害者遺族が憤り 宇佐市親子強盗殺人事件

大分県宇佐市で2020年に起きた強盗殺人事件の控訴審で、福岡高等裁判所は佐藤翔一被告(40)に対する1審の死刑判決を支持し、被告側の控訴を棄却しました。判決を受けて、被害者遺族は「なぜ母と兄を殺したのか語ってほしい」と憤りをあらわにしています。 ■高裁も認めた「犯人性」 この事件は2020年2月、宇佐市安心院町の住宅で、山名高子さん(当時79)と長男・博之さん(当時51)が殺害されているのが見つかったものです。約1年8か月後、大分市に住んでいた佐藤被告が逮捕され、2人を包丁などで殺害し、現金8万8000円を奪った強盗殺人などの罪で起訴されました。 福岡高裁の平塚浩司裁判長は5日の判決公判で、「被告人の車両から女性被害者のDNAが検出されたことなど、犯人性を強く推認でき、1審判決は不合理とはいえない」と指摘。「殺害の計画性があると明らかに認められないが、極刑はやむを得ない」として被告側の控訴を棄却しました。 佐藤被告は1審と同様、長髪を結び、白のワイシャツに上下黒のスーツ姿で出廷。マスクを着用し、終始微動だにせず、落ち着いて判決を聞いていました。 ■埋まらない「なぜ」 判決後、被害者の次男である山名賢司さんが取材に応じました。 山名さんは「荒唐無稽な言い訳をしている。なぜ犯行に及んだか、なぜ母と兄を殺したのか、否認しているので語っていない。全然満足できない。まず事実を認めてほしい。被告人は何を思って犯行に及んだのか、話す責任がある。1審と今日では印象に変化はない。被告人の口から事実を語ってほしい」と被告の態度に不満を示しました。 大分地裁での裁判員裁判では、被告側は「現場近くまで車に乗せたマスク姿の男が真犯人と思う」などと述べ、一貫して事件への関与を否定し無罪を主張。一方、検察側は「うそのストーリーをでっち上げ、事実と向き合う姿勢は皆無」と指摘していました。 山名さんは「あいかわらず無表情だった、何を考えているかわからないという印象。裁判では間接証拠の推認というかたち。普通の大人がなぜ執拗な殺し方に及んだのか、僕にはまったく理解できない。そういうところの話をききたい」と語りました。

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