迫田警視総監の会見詳細「逮捕の3人に深くおわび」 大川原冤罪事件

警視庁の迫田裕治警視総監は7日、「大川原化工機冤罪(えんざい)事件」の検証結果を公表し、記者会見した。会見では、大川原化工機の関係者に謝罪し、10秒以上にわたって、深々と頭を下げた。 迫田総監の発言の概要は以下の通り。 ◇冒頭発言 本日、捜査の問題点と再発防止策に関する検証報告書をまとめ、東京都公安委員会に報告し、ご了承を得ました。警視庁は、当時、公安部で組織的な捜査指揮がなされなかったことにより捜査の基本を欠き、その結果、控訴審判決で違法だとされた捜査を行ったことを真摯(しんし)に反省しています。 逮捕された3人の方々、捜査対象となった会社の関係者の方々に多大なご心労、ご負担をおかけしたことについて改めて、深くおわび申し上げます。また、亡くなられた顧問の方、ご遺族の方々には心から哀悼の意を表しますとともに、多大なご心労、ご負担をおかけしたことについて深くおわび申し上げます。 検証報告書を取りまとめるにあたり、本件のような事案を二度と起こさないためにも、現場の捜査員が当時、通常要求される捜査を遂行していたか否かという点を超えて、今回の過ちについて、組織として捜査の基本を徹底し、より的確に判断するならばどうすべきだったかという観点から捜査上の問題点を抽出した。捜査上の問題点を総括すると、公安部全体の捜査指揮系統の機能不全ということが最大の反省事項と考えています。 再びこのような事案を起こさないため、再発防止策として、組織としての捜査指揮を適正かつ実効あるものにするための仕組みや体制を再構築することとしました。十分に機能を発揮できるよう、公安部の各レベルにおけるより良い捜査指揮に資するための意思疎通の円滑化を促進する各種の取り組みも進めます。 最後に、捜査で多大なご心労、ご負担をおかけした皆さま、都民・国民の皆さまに、改めて深くおわび申し上げます。検証結果を踏まえ、警察に与えられている捜査権の重みを十分に理解し、緻密(ちみつ)かつ適正な捜査を推進することで、都民・国民の期待に応えられるよう、ゆるみのない努力を積み重ねる所存です。 ◇質疑 ――迫田氏が警察庁外事課長や警視庁公安部長を務めていたことについて。 迫田氏:情報保全を徹底しなければならない部門の業務の性質上、このようなことが起こりうる状況にあったのに十分な対策を講じるまでに至らなかった点について反省するところです。再発防止策を着実に実施することで、公安部の業務に伴って生じうる弊害を取り除きながら、本件のような事案を二度と起こさないよう、公安部全体の捜査指揮能力の向上に努めてまいる所存です。 ――検証を受けて、公安部員への指導などは。 迫田氏:反省事項を公安部の職員一人ひとりが深く胸に刻んで、再発防止策の着実な実施に取り組むよう求めていくとともに、捜査権の重みをしっかりと浸透させてまいります。そうすることで、公安部全体の捜査指揮能力、ひいては捜査能力全般の向上につなげ、成果にもつなげていく。結果、職員の士気も上がると期待しています。 ――警視庁は国賠訴訟で、捜査員の証言を「壮大な虚構」と批判し、今回撤回したことについて。 迫田氏:警視庁は今後、こうした考えは一切持たないという決意で撤回しました。関連して、当方の裁判中における準備書面で、関係者の主張について行き過ぎた表現があり、「心情を害した」というご指摘があるのであれば、その点も真摯(しんし)に受け止めたい。

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