斎藤知事の疑惑を追及した元兵庫県議が巻き込まれた「誹謗中傷」の渦 死後もやまぬ発信

1月に亡くなった竹内英明・元兵庫県議=当時(50)=の妻(50)が、名誉毀損(めいよきそん)罪で政治団体「NHK党」党首の立花孝志氏(57)を刑事告訴した。斎藤元彦知事の疑惑告発文書問題を調べる県議会調査特別委員会(百条委)委員として、厳しく疑惑を追及していた竹内氏はどのように誹謗(ひぼう)中傷の渦に巻き込まれていったのか。 「竹内議員は当然嫌いなんです。斎藤前知事のことが。だからありもしない噂話を作った人。意図的に作り出しよったんです、これ。竹内県議聞いてますか?あんたえらいことしてまんな」 斎藤元彦知事の失職に伴う知事選が告示された翌日の昨年11月1日、斎藤氏を応援するとして出馬した立花氏が、神戸市内で声を張り上げた。聴衆に向かって竹内氏が斎藤氏を陥れたと強調。その後、SNS上で「黒幕(主犯格)は竹内」と書かれた文書を公開した。 竹内氏は、斎藤氏の疑惑告発文書問題を調査するため、昨年6月に立ち上がった百条委員会の委員の一人だ。 同年8、9月に2度にわたって行われた斎藤氏の証人尋問では、独自に職員から集めた証言なども踏まえながらパワハラや贈答品受領などの疑惑を追及。後に県の第三者委員会から事実認定されることになるパワハラ行為について、「必要な指導だった」と主張する斎藤氏に「パワハラと認めて反省するっていうことじゃないんですか」と詰め寄る場面もあった。 竹内氏を取り巻く状況が大きく変わったのは、県議会による全会一致での斎藤氏の不信任決議を経て、知事選が実施されていた同年11月3日のこと。百条委委員長だった奥谷謙一県議の自宅前で演説した立花氏が、「竹内の事務所にも行く」と発言すると、竹内氏の元には誹謗(ひぼう)中傷のメールや電話などが大量に届くようになった。 「(議員、百条委委員としての)立場がなくなれば誹謗中傷が収まるのでは」。竹内氏は斎藤氏が再選された翌日、県議を辞職したが、誹謗中傷が止むことはなかった。 立花氏の発信も続いた。同12月1日、X(旧ツイッター)に「竹内が県議会議員をやめた理由!現在竹内は警察からいろいろ聞かれている模様!」と投稿。当時出馬していた大阪府泉大津市長選の街頭演説でも、「(竹内氏が)警察に呼ばれている」などと発言し、竹内氏は「犯罪者扱いされている」と不安を訴えていたという。

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