水戸路上襲撃 被害女性「すごい衝撃」 事件忘れ「日常」願う 茨城

茨城県水戸市の中心市街地の路上で男女6人が刃物で切り付けられるなどして負傷した事件で、容疑者の男に最初に襲われたとみられる市内在住の委託職員の女性(75)が茨城新聞の取材に応じた。女性は頭や腕、手指などを負傷し、通院している。背後から後頭部を殴られた瞬間は「ものすごい衝撃だった」と証言し、事件を忘れて「日常に戻りたい」と願った。 事件は同市南町2丁目の路上で7月28日午後6時過ぎに発生。殺人未遂容疑で同所、職業不詳、男(48)が現行犯逮捕された。 県警水戸署によると、男は自宅近くの裏通りで2人を襲った後、大通り(国道50号)沿いに移動して4人を襲撃し、20~70代の男女6人が重軽傷を負った。両手に刃渡り約50センチのマチェットナイフを持ち、サバイバルナイフを腰に下げていた。 ■必死に抵抗 「月末になると(仕事の都合で)よく歩く道。まさか、こんなことに巻き込まれるとは」 腕などにいくつも巻かれた包帯、後頭部は医療用ホチキスで傷口がふさがれ、短くなった髪が痛々しさを感じさせる女性。事件から1週間以上経過した今月5日、気丈に語った。 事件当時、仕事の訪問先に向かうため裏通りを水戸駅方面に歩いていた女性は、スーパーの入り口付近で、背後から1回、後頭部を殴られた。「鉄の棒で殴られたような、感じたことのないものすごい衝撃」。後を付けられているような気配はなく、恐怖を感じる間もなかった。 振り返ると、両手にナイフを持ち、黒いマスクを着けた男が目の前にいた。「お願いだからやめて」。倒れ込みながら何度も叫び、必死に抵抗したが、男の手は止まることがなかった。 ■不幸中の幸い 女性の頭からは大量の血が流れ、男はその姿を見やり、無言で去って行った。直後は「怖さで『助けて』がとっさに出てこなかった」。 血だらけのままスーパーに駆け込み、従業員や来店客に通報を求めた。止血のため、来店客からもらったハンカチは真っ赤に染まっていた。 救急車に乗るため大通りに出ると、辺りは騒然としていた。「人がたくさんいたが、気にする余裕はなかった。救急車に乗り込み、ようやく安心できた」 事件から約5日間、市内の病院に入院。傷は頭や左腕、手指、首や背中など複数箇所に及んだ。現在は通院して治療をしている。傷は多いものの、順調に回復しているという。 「無差別に狙われるのが一番怖い」と不安を口にする一方で、「命が助かったのは不幸中の幸い。事件のことを忘れて、日常に戻りたい」。女性は自らに言い聞かせるように話した。

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