【プレイバック’05】“犯行小説”も書いていた「大阪自殺サイト連続殺人」ヤバすぎた犯人の“性癖”

10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックを今ふたたびふり返る【プレイバック・フライデー】。今回は20年前の’05年9月2日号掲載の『男女3人を殺害した〝異常性欲男〟は「犯行小説」まで書いていた! 〝窒息フェチ〟殺人鬼が告白した「50件の余罪」暴く』を紹介する。 ’05年2月に大阪府河内長野市の河原で20代の女性Aさんの遺体が発見された事件で8月5日、堺市の人材派遣会社社員・X(当時36)を殺人と死体遺棄の容疑で逮捕した。のちにXが2人の男性を殺害したことを自供し、世間を震撼させた「自殺サイト連続殺人事件」の発端だった。さらにXには3人の殺害以外にも数々の“余罪”があったことが発覚する──(年齢・肩書はすべて当時のもの。《》内の記述は過去記事より引用)。 ◆息ができなくて苦しむ様子に性的興奮を 《己の快楽のために3人の男女を殺害した殺人鬼は、逮捕の瞬間も、“仮面”である穏やかな表情を浮かべていた。 「朝6時ごろ、警察が自宅に来ましたが、 別にうなだれることもなく、普通にクルマに乗っていきました。手錠もかけられていなかったので、逮捕されたなんて思いもしませんでした」(近所の住人)》 Xはインターネットの「自殺サイト」で知り合ったAさんに「一緒に練炭自殺しませんか」と持ちかけて誘い出し、窒息させて殺害した。「息ができなくて苦しむ様子に性的興奮を覚えた。自殺サイトの利用者ならば、いなくなっても怪しまれないと思った」と供述。同じ手口で、サイトで知り合った神戸市の中学3年生Bくん(享年14)、男子大学生のCさん(同21)を殺害したことを自供した。そしてその言葉通り2人の遺体が次々と発見されたのだった。 Xの犯行の手口は次のようなものだった。 《インターネットカフェで自殺サイトにアクセスして自殺志願者を物色。心中を持ちかけて誘い出し、実際に七輪を積み込んだレンタカーで信用させた上で、「練炭自殺は苦しいから暴れないように縛っておこう」と、ひもで手足を縛り、手や粘着テープで口や鼻を塞ぎ窒息死させるのである。苦しむ様子をカメラにおさめ、断末魔のうめき声を録音してパソコンやCD-ROMに保存。すぐに殺さず、 失神すると手を緩め、1時間近くも繰り返したケースもあったという》 Xが自宅近くに“離れ”として使っていたプレハブには被害者らしき男性を含む複数人の窒息画像や音声がCD-ROMやパソコンに保存されていた。それだけではない。Xが『窒息王』の名前で開設していたHPには『初めての窒息プレイ、そして殺人』と題した自作の“小説”が掲載されていた。その内容は彼の犯行を想起させるようなおぞましいものだった。 《〈直美はうめき声を上げながら、必死に首を左右に振ろうとして抵抗する。その苦しんでいる姿を目に焼き付けながら、俺は満足感に浸っていた。直美の呼吸を遮断して2分くらい経った時、突如うめき声が途絶え、直美の全身から力が抜けた。それでも俺は直美の鼻と口を塞ぎつづけた。暫くすると直美の体が小刻みに痙攣しだした〉 〈自宅に帰ってから録画したビデオを何度も見た。直美の苦しむ姿は美しく、それを見て俺は何度も自慰行為をした〉》 ◆中学時代から止まらなかった“性癖” Xが他人が窒息して苦しむ姿に性的興奮を覚える“フェチ”となったのは中学時代に読んだ江戸川乱歩の小説がきっかけだという。“窒息”に取り憑かれたXは、「中学時代から通行人の首を絞めたり、口をふさいだりしていた。約50件やった」と供述していた。 1987年の金沢工業大学時代には友人の首を絞めて無期停学となり中退。1995年、郵便局に勤務していたときも、同僚の男性の首を絞めて傷害容疑で逮捕、懲戒解雇となった。’01年には中学生ら女性2人の口をふさいで気絶させ、執行猶予つきの有罪となり、その翌年に男子中学生の口をふさいで懲役10ヵ月の実刑判決。執行猶予も取り消されている。まさに筋金入りの“窒息フェチ”だった。 服役していたときには両親へ「二度としません」と更生を誓う手紙を送っていたというX。だが、その誓いは守られなかった。 逮捕されたXは弁護士に、「自分でも、なぜ窒息する姿に興奮するのかわからない。自分は死刑になるだろう」と話したという。己の異常な性衝動に気付きながら、犯行を止めることができなかったX。悲劇を防ぐ術は本当になかったのだろうか──。 ◆「白いスクールソックス」がトリガーだった ’05年12月から行われた裁判で、Xは犯行について「間違いありません」と全面的に認めた。一方でXには過去に精神科で解離性障害と診断されたり、記憶の欠落によって2ヵ月ほど入院していたことから、弁護側は刑事責任能力について争った。’07年3月に下された判決は死刑。弁護側は控訴したがXが取り下げたために刑は確定し、’09年7月に執行されている。 裁判の間に1年以上かけて行われた精神鑑定によれば、Xの“性癖”には小学生のときに元警察官である父親から何回かにわたって受けた「窒息による虐待」が大きく関わっていたという。 またXが犯行の際にこだわっていたのが「白いスクールソックス」だったことも裁判で明らかになった。白いスクールソックスを見ると性衝動が抑えられなくなったというのだ。前述の事件で被害者となった大学の友人や郵便局の同僚は白いソックスを履いていた。また、殺害された3人はいずれも犯行の前に白いスクールソックスを履かされていた。 自殺サイトを利用しようと決めたのは、’04年3月に出所してからしばらく経って、また窒息プレイをしたいという欲求が募ってきたためだった。インターネットのSMサイトで相手を探したものの見つからず、自殺サイトを眺めているうちに自殺志願者の手足を縛って弄ぶ手法を思いついたという。 ’00年にインターネットが普及し始めた頃から自殺サイトはあったが、その存在すらあまり知られていなかった。Xの事件をきっかけにその危険性が広く認識されることとなった。だが、「自殺したい」という書き込みそのものは犯罪ではないため、警察がサイトを取り締まることは困難だった。 そして、12年後に起きた自殺サイトで知り合った相手を次々と殺害した「座間9人殺害事件」など、自殺志願者を標的にした猟奇殺人は現在も後を絶たないのだ──。 ・日本いのちの電話連盟 電話 0570-783-556(午前10時〜午後10時) TOPページ ・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) 電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226) よりそいホットライン ・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談 電話0570-064-556(対応時間は自治体により異なる) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html ・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧) https://jscp.or.jp/soudan/index.html

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加