韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏(52)が12日、株価操作や収賄など複数の容疑で逮捕された。 金氏は同日、ソウルでの4時間におよぶ審問ですべての容疑を否認していた。しかし、裁判所は証拠隠滅の恐れがあるとして逮捕状を発付した。 韓国では大統領経験者が起訴・収監される例はこれまでもあったが、その配偶者も同時に収容されるのは史上初めて。 尹氏は昨年12月3日夜に「非常戒厳」を宣布したが、国会が解除の要求を議決。翌4日朝に解除した。今年1月に内乱罪で起訴され、4月には憲法裁判所が尹氏に対する国会の弾劾訴追を裁判官の全員一致で妥当と判断し、尹氏を罷免する決定を言い渡した。尹氏は直ちに失職した。 検察によると、金氏は独BMWの韓国国内のディーラー「ドイツ・モーターズ」の株価操作に関与し、8億ウォン(約8600万円)以上の利益を得たとされる。 これは夫の尹氏が大統領に選ばれる以前のこととされるが、夫の在任中も暗い影を落とし続けた。 金氏はまた、物議を醸している「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の事業に便宜を図る見返りに、シャネルのバッグ2点とダイヤモンドのネックレスを受け取った疑いがある。 そのほかにも、2022年の国会議員の補欠選挙および昨年の総選挙において、候補者選定に介入した疑いなどが持たれている。 金氏は12日の審問に黒いスカートスーツ姿で出廷し、険しい表情を見せた。 「取るに足らない存在でありながら、ご迷惑をおかけしたことを心から謝罪します」と記者団に語った。 尹氏は大統領在任中、妻の金氏に対する特別検察官による捜査を立ち上げようとする野党主導の法案3件に拒否権を発動してきた。最後の拒否権発動は、非常戒厳を宣布する1週間前の昨年11月だった。 今年6月、尹氏の政敵である李在明(イ・ジェミョン)氏が大統領に就任。金氏に関する疑惑を捜査する特別検察官が任命された。 (英語記事 Wife of South Korea's jailed ex-president arrested)