「痴漢や迷惑行為の乗客を電車出禁にしてほしい」SNSで要望の声、鉄道会社が踏み切れない「理由」

「痴漢の再犯を防ぐには、鉄道会社が加害者を出入り禁止にするべきでは?」 電車内での痴漢や迷惑行為がニュースで報じられる度に、そんな疑問の声がSNSなどで上がる。 たとえば、東京メトロの東西線車内で女子高生に痴漢していた男が今年6月、逮捕されたが、読売新聞などの報道によると、この男は昨年8月から週2〜3回、同じ女子高生に繰り返し痴漢行為をしていたという。SNSではこの事件が報じられると、「二度と乗れないようにしてほしい」との声が多く寄せられた。 実際、法務省の「犯罪白書」によると、痴漢は他の性犯罪に比べて再犯率が高いと指摘している。また、内閣府の調査では、痴漢被害の多くが電車内や駅構内で発生しており、特に若年層での被害が顕著だった。そうしたことから、「痴漢の加害者は二度と電車に乗れないようにしてほしい」という声は根強い。 一般的に、飲食店で迷惑行為をした客を「出禁」にすることは珍しくないが、鉄道会社がそうした措置を取ることは法的に可能なのだろうか。 公共交通の性質や、憲法が保障する「移動の自由」、そして乗客の安全──。この問題には、どこまで法的な対応が可能なのか、鉄道会社に取材するとともに、鉄道にくわしい甲本晃啓弁護士に聞いた。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

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