上半期の都内特殊詐欺被害は150億円…昨年1年分に迫る 手口は「警察官がたり」が大半

東京都内の令和7年上半期(1~6月)の特殊詐欺の被害額が、昨年1年間(約153億円)に迫る約150億7000万円に上ったことが、警視庁のまとめ(暫定値)で分かった。警察官をかたる手口による詐欺が大半を占めており、警視庁は「相手の所属や名前を確認して、いったん電話を切ってから、警察署に確認してほしい」と訴えている。 特殊詐欺対策本部によると、7年上半期の特殊詐欺被害の認知件数は前年同期比約1・4倍の2163件で、被害額の約150億7000万円は同約3・2倍だった。類型別では「オレオレ詐欺」が全体の約68%を占める1464件で最多だった。 中でも、携帯電話などに警察官をかたって、「あなたは事件の容疑者になっている」と噓を言い、ビデオ通話に誘導してから偽の警察手帳や逮捕状を提示し、保釈金や銀行口座の調査名目で現金を詐取する手口が多く確認された。被害は1053件、約97億5000万円に上ったという。 年齢別の被害者は50代以下が955人で、60代以上が1208人と高齢者の被害がやや多く確認された。ただ、60代以上の被害は前年同期比127人減少した一方で、50代以下は同比752人増えた。 特に、警察官かたりの手口の被害者は30代が224件(21・3%)と最多で、60代以下の被害者が9割以上を占めた。中年層以下のユーザーが比較的多いSNSなどが犯行に用いられたことが50代以下の被害増加の一因となったとみられる。 警視庁は金融機関と連携し、高額取引のモニタリングや、振込限度額の引き下げなどの対応を進めるほか、犯行に悪用された電話番号は国際電話からの発信が8割だったことから、着信拒否などの遮断に向けた取り組みも行う。SNSを通じた現役世代への周知にも力を入れる。 特殊詐欺対策本部は「官民連携で各種対策や広報啓発に取り組みたい」としている。

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