KADOKAWA前会長に懲役3年求刑 東京五輪に絡み6900万円贈賄の罪

東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で、組織委員会元理事への贈賄罪に問われた出版大手「KADOKAWA」(東京都千代田区)前会長、角川歴彦(つぐひこ)被告(81)に対し、検察側は19日、東京地裁(中尾佳久裁判長)の公判で懲役3年を求刑した。 起訴状によると、角川前会長は、KADOKAWA元専務と元五輪担当室長=いずれも贈賄罪で有罪確定=の2人と共謀。組織委元理事の高橋治之被告(81)=受託収賄罪で公判中=にスポンサー選定での後押しを依頼し、その見返りとして2019年9月~21年1月、計約6900万円の賄賂を渡したとされる。 検察側は公判で、角川前会長が高橋元理事側へ金銭を支払うことの法的リスクについて元専務から説明を受けた上で、コンサルタント料名目とする方針を了承したと指摘。KADOKAWAが五輪のスポンサーを目指した背景には、前会長の意向が強く働いていると主張している。 一方で、角川前会長は起訴内容について「検察が勝手に作り上げた虚構」と無罪を主張。弁護側は前会長には決裁権限がなく、社内で贈賄のリスクが指摘されてからも報告を受ける状況になかったと反論している。 角川前会長は22年9月に逮捕され、23年4月に保釈された。起訴内容を否認したことで身柄拘束が長引き肉体的、精神的苦痛を受けたとして、国に2億2000万円の損害賠償を求める訴訟を24年6月に東京地裁に起こしている。【安達恒太郎】

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