大阪府内のある公園で赤ちゃんの遺体が見つかった事件について、自ら出頭し、今月15日に逮捕された23歳の母親が、事件への関与を認めているという。動機やいきさつなどは捜査中だが、こうした事件の多さを嘆かわしく感じている人も多いことだろう。 一方で、想定外に子どもができたことにより、思いがけない幸福を手に入れる人がいるのもまた事実だ。 「厚生労働省によると、「結婚期間が妊娠期間より短い出生の嫡出第1子出生に占める割合」は全体の18.4%、つまり、全体の約5.5組に1組は授かり婚カップルだという計算です(令和元年)」 こう話すのは、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏。 「少子化の時代にあって、予期せずともお子さんが産まれて幸せに育つのであれば、それは歓迎されるべきことでしょうが、やはり子どもの将来のためにも、家族計画は重要です」 今回取材に応じてくれたのは、40代の会社員・Fさん。事実婚関係にあった夫との間に授かった子を育てている女性だ。 Fさんは、お子さんを授かる前の状態について、「子どもはもしできたら嬉しいかもしれないが、経験的にも年齢的にもないのかなと思っていた」と話している。平塚氏はこう続ける。 「Fさん夫妻は、それまでの経験などから、この先、もう子どもができることはないと考えており、2LDKのヴィンテージマンションを購入し、広い1LDKにリフォームして暮らしてきました。 『もし妊娠したら産む』と考えつつも、お子さんができることをほぼ想定せずに住まいをデザインしたことは、うかつだったかもしれませんね」 Fさんは30代半ばまでピルを飲んでいたが、30代後半になり、血栓ができるリスクを恐れてやめた。その後、「かなりずさんな避妊」でも妊娠することがなかったため、やがて2人は自分たちにはもう子どもができないと半ば決めつけるようになった。 ところが、30代の終わりになってFさんは妊娠。2人は話し合ったうえで入籍して子どもを産んだ。 「お子さんが赤ちゃんのうちは良かったですが、保育園に通うようになると、1LDKは住みづらくなりました。住み替えを計画しているさ中に、ある事件が起きます。夜中に目を覚ましたお子さんに夫婦生活を目撃されてしまったのです」と平塚氏。 このエピソードを大学時代の友人に披露したところ、友人は「それって大丈夫?性的虐待になるんじゃない?」と指摘を受け、Fさんは思い悩むようになったという。平塚氏は、児童虐待についてこう話す。 「たしかに、児童虐待の1つである『性的虐待』には、『性器などをさわろうとする』『こどもに性的行為を求める』『性的行為を見せる』『性的な写真の被写体にする』などが含まれます。 そうした行為が子どもの心身や、体の成長、脳の発達などに及ぼす影響は計り知れません。『このくらいは大丈夫」と軽視せず、日常生活の中でも保護者には注意が求められます」 友人に忠告されてからは、自分たちが加害者なのかどうか、また、息子の心に影響が出るのかどうかが気になって仕方がないとFさんは言う。 「息子は『ママがイヤって言ってるのにパパが悪いことをした』言っていましたが、その後はいつも通りでした。私は『ヤダ、目が合っちゃった』と慌てましたが、夫は『一瞬起きて寝ぼけただけだよ。気にするな』と。でも、多分かなりしっかり見られてしまって…」とFさんは述べた。 【関連記事】「言いづらいんだけど…」幼なじみ女児宅で5歳息子が親の行為を再現。やはりあれは「虐待」だったのか。では、件の出来事のあとで起きた、5歳息子の驚きの行動についてレポートしている。 【取材協力】平塚俊樹:危機管理コンサルタント【聞き手・文・編集】佐原みすず PHOTO:Getty Images【出典】厚生労働省:令和3年度「出生に関する統計」の概況