【音源入手】警察官になりすました人物による詐欺 静岡県内でも急増 巧妙な手口を暴く

全国的に多発している警察官を騙る詐欺。静岡県内でも、被害が急増しています。私たちは詐欺の音声データを入手。巧妙な手口が記録されていました。 8月20日。 (記者)『カンボジアから移送された日本人が中部国際空港に到着しました。』 多くの捜査員とともに出てきたのは、カンボジアにある特殊詐欺の拠点で拘束された日本人。続々と姿を見せ、その数29人。 (記者)『詐欺に関わって後悔はしていますか?』『カンボジアでは何をしていたんでしょうか?』『報酬はどのくらいもらったんでしょうか?』 29人は19歳から52歳の男女で、警察官などになりすまし、東京都に住む64歳の男性から現金をだまし取ろうとした詐欺未遂の疑いで、全員逮捕されました。海外を拠点とする特殊詐欺事件では過去最大規模の逮捕です。 いま、全国で問題になっているのが警察官などをかたる特殊詐欺。静岡県内でも、その被害件数は急増していて、2025年6月末時点の被害件数は102件、被害額はおよそ8億8500万円と、前年の同じ時期の被害額およそ9500万円と比べると大幅に増加しています。 県警によりますと、「ニセ警察詐欺」の被害者は50代以下が半数にのぼるということですが、私たちは以前、被害にあった人を取材していました。 こちらは静岡市に住む40代男性。 (被害者)「自分は絶対大丈夫だと思ってたんだけど。洗脳されてたじゃないけど、ちょっとこう、立ち止まれない自分がいた」 「自分は絶対に騙されない」と思っていたのにもかかわらず、100万円の詐欺被害にあってしまったといいますが、きっかけは警察を名乗る男からの一本の電話でした。 (被害者)「逮捕状が出ているという口実で最初電話がかかってきて、身の潔白を証明するためには今から言うことを聞いてっていう感じで。個人携帯にかかってきて、自分の名前と住所も言われた。この人、把握しているんだっていう・・・」 突然、携帯電話に非通知で連絡があり、自分のキャッシュカードが犯罪に使われていて、ある事件の容疑者として逮捕状が出ていると迫られたと言います。 私たちが入手した電話の音声データでは…… (ボイスレコーダー 警察をかたる犯人と被害者の会話) 「今現在ですね2つの令状が発行されてます。」 「マジですか、はい。」 「この件を放置してますと、この事件の罪が成立してしまうため、その辺はご理解されていますか。」 「いやいやそれは困りますよ。勝手にそんな…」 最初は電話を不審に思っていたものの、LINEのビデオ通話のなかで警察の制服を着た男が登場すると、不安をあおられてしまったという男性。その上で、潔白を証明する方法として「持っている現金が犯罪に使われていないか調査する」と提示されます。 (ボイスレコーダー 警察をかたる犯人) 「今お持ちの資産の一部を金融調査機関に預け入れていただきます。犯罪に使われているというお金がないということがわかれば、全額お戻しする形です。」 男性は、早く疑いを晴らしたいと、誘導されるがままに男から指定された口座に100万円を振り込んでしまったのです。 このように年々手口は巧妙化。その他のケースでは検察を名乗り身分証を提示してきたり… 裁判所の印鑑が押された作りこまれた逮捕状を出してくる場合も! 被害に合わないためには… (実際の詐欺電話の事例) (男)「お世話になります。捜査二課のサトウです。」 (女性)「はい、どうもお世話になります。」 これは県警から提供された実際の詐欺電話の様子です。警察官のサトウと名乗る男からの電話に対して、女性はだまされたフリをして応じます。 (実際の詐欺電話の事例) (男)「お世話になります。そして、本日の流れの方、説明させていただくんですけども。証書を解約していただいて、ゆうちょ銀行の定期の方にですね、移動するという作業になります。」 女性に銀行へ行くように指示をするニセ警察官。女性が不審に思ったように声をあげると…。 (実際の詐欺電話の事例 女性と警察を名乗る男の会話) (女性)「すいません。警察手帳とお顔を拝見したいんですけど。」 (男)「警察手帳見えますよね。」 そう言って、偽の警察手帳を提示し女性を信じ込ませようとします。 (実際の詐欺電話の事例) (男)「普通預金に移動してください。」 (女性)「それは行ってこないとダメってことですね。」 (男)「そうです、そうです、そうです。はい。で、やはり銀行にはですね、共犯者がいますんで。はい、警察に協力しているなど、そういったことは絶対に言わないようにしてください。」 銀行に共犯者がいると嘘をつき、誰にも言わないように指示。そして・・・ (実際の詐欺電話の事例) (男)「はい。それまで、電話をつなげ たままポケットに入れてって、 向かっていただようにしてくだ さい。何かね、わからないこと、質問とかがあれば、“外に出て”から私に声をかけ てください。中では絶対に電話しないでくだ さい。」 絶対に口外しないように再三注意を促している様子がうかがえました。 県警はこのように「警察が銀行に行かせることはない」「もし電話が来ても指示には応じず、警察に相談してほしい」と注意を呼び掛けています。

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