2023年に違法薬物事件を起こして廃部になった日本大学(日大)アメリカンフットボール部の後継組織「有志の会」に所属しているランニングバック(RB)酒井佑昌選手(20)が26日、東京地裁四方記者クラブで会見し、関東大学リーグに復帰(加盟)する後継組織が2部リーグ所属になったことを不服として、日本スポーツ仲裁機構に申し立てを行った。 酒井は「チャンスをいただいて2部(復帰は)うれしいことではあるんですけど、自分たちは1部でやりたい。ずっと日本一を目指していたので、たとえ結果は変わらなくても、少しのチャンスがあればと思って申し立てることにしました」と説明した。「緊急仲裁」として手続きを進めているという。 「チーム」ではなく「個人」での申し立てになったことについては、既に大学が2部からと受け入れたこと、活動が始まってしまっていて全員の意思統一が難しい、など複数の理由が挙げられた。 今回、申し立てることで批判されることも予想される中、踏み切ったことについては、事件時に1年生で知らずに入部したという酒井が「日大アメフトの印象がすごく落ちていて、でも今は大麻事件とは関係ない選手しか残っていなくて。批判はされると思いましたけど、新しいフェニックスを。それよりも、変わった日大を、新しく前に進む、いいイメージにしたい」と語った。 初戦は9月7日に迫っているが、そこに対しては「試合は決定しているので、出るつもりです」と断言した。 チームメートの反応については「協力したいと思っている人もいるけど、周りから言われたことが多い。世間からも、たたかれるのでは。いい経験をしていないので、チームメートは怖くなってしまっている」とした。 日大を巡っては、寮に住む部員が違法薬物所持で23年8月に逮捕されたことなどを受け、同年12月15日付で廃部になった。1940年(昭15)創部で、甲子園ボウルで関東最多21度の優勝を誇った名門フェニックス(不死鳥)が84年の歴史に幕を下ろした。翌24年2月に関東学連からも退会していた。 薬物検査の陰性など一定の参加条件を満たした元部員や新入生は、同5月から「アメリカンフットボール有志の会」として活動。今年6月、関東学連に加盟が承認されて2部Bブロック(最上位リーグの1部TOP8から数えて3部相当)から再出発することになっていた。 大学日本一を決める全日本大学選手権の決勝、甲子園ボウルに挑めるのは最短で2年後となる。坂井選手は甲子園ボウルに間に合わないため、不服を申し立てた。 玉井弁護士は「甘んじて受け入れるべきだ、との声があることを承知の上で、甲子園ボウル出場の夢を果たせなくなった。他大学への編入についても『ともに練習をしてきた仲間と甲子園ボウルを目指したい』と転校を本人は考えていない」とした 退社(退会)からの復帰となれば、本来は3部(4部相当)から。危機回避のための異例措置であることも認めた上で「有志の会はフェニックスの強さを継承し、実際1部と互角の実力を有している。(実力差、体格差がありすぎ)他大学の部員を危険にさらしてしまう」と、復帰を2部以上の1部にするよう求めた。