国から秘書給与約800万円詐取か 特捜部、石井章議員の事務所捜索

勤務実態のない公設秘書の給与を国からだまし取った疑いがあるとして、東京地検特捜部は27日、「日本維新の会」の石井章(あきら)・参院議員(68)=比例=の事務所などを詐欺の疑いで家宅捜索した。詐取したとされる総額は約800万円とみられることも判明した。 特捜部が捜索に入ったのは、国会内の議員事務所(東京都千代田区)や地元の事務所(茨城県取手市)など。国会内の事務所では午後4時半ごろまで、地元の事務所では午後8時近くまで、係官による捜索が続いた。 公設秘書には、政策秘書、第1秘書、第2秘書の3種類がある。その給与は、国会議員秘書給与法に基づき勤続年数や年齢に応じて変わり、年収は通勤手当や住宅手当などを含め700万~1300万円という。 関係者によると、石井議員が届け出た公設秘書には勤務の実態がなく、国から支払われる秘書給与をだまし取った疑いがあるという。 詐取した疑いがある給与の総額は約800万円とみられ、特捜部は詳しい経緯を調べている。 ■党内で一定の影響力 石井議員は取手市議などを経て、2009年8月の衆院選に民主党から立候補し、比例北関東ブロックで初当選した。その後、国政選挙で3回落選したが、16年7月の参院選で、「おおさか維新の会」から立候補し比例区で当選。22年7月の参院選は、「日本維新の会」から立候補し比例区で再選した。 党内では、両院議員総会長を務めた。党の本拠地の大阪選出でない議員らに一定の影響力があり、「石井グループ」とも呼ばれる。昨年末の党代表選では、このグループから推薦人を出すなどしたという。 公設秘書の給与詐取事件は、00年代前半までに、社会民主党の衆院議員だった辻元清美氏(現在は立憲民主党の参院議員)が逮捕されるなど相次いだ。このため、議員の配偶者の採用禁止や秘書への直接給与支給などを盛り込んだ改正国会議員秘書給与法が04年に成立した。 法改正後は約20年、事件の発覚がなかったが、自民党の参院議員だった広瀬めぐみ氏が昨年8月、勤務実態のない秘書の給与を国からだまし取ったとして詐欺罪で在宅起訴された。今年3月に有罪判決を受け確定した。

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