校長の欠勤、真の理由が伝えられたのは2カ月後…生徒に寄り添った対応とは 神奈川 ノートの片隅で

数年前のことだ。私の子供が通っていた横浜市内の市立小学校の校長が、別の学校の教諭に無理やりキスをしたり、胸を触るなどしたとして懲戒処分を受け、校長は依願退職した。 学校は保護者会を開いた。被害者の年齢、具体的な犯行場所、なぜ被害届が提出されていないのか…。児童への被害を推し量るためにも保護者として確認したいことはたくさんあり、質問は相次いだ。だが、報道で知った以上のことはほぼ明かされなかった。 「昨日までの上司なのだから、分からないの一点張りでなく、本人に確認してみるくらいのことはしてほしい」。そんな思いが通じるわけもなく、会合は終わった。 何のための保護者会だったのか。校長個人への怒りより、学校や市教委への失望感の方が大きかったのを覚えている。 ■出勤しない理由は「体調不良」 横浜市金沢区にある市立中学校の校長が電車内で女性のスカート内を盗撮しようと撮影し、乗り合わせた乗客に取り押さえられ、神奈川県警に任意同行されたのは6月13日のことだった。 校長はその日実施された市教委の聴取に事実関係をおおむね認め、自己都合による欠勤を始めた。傷病休暇でないにもかかわらず、生徒や保護者には、出勤しない理由は「体調不良」と伝えられた。 8月7日に県警が校長を性的姿態撮影処罰法違反(撮影)容疑で書類送検すると、市教委は翌8日、この不祥事を公表した。生徒らは校長が学校に来なくなった本当の理由を知った。事件から約2カ月が経過していた。 同26日に開催された市議会の臨時常任委員会では、保護者の中には「虚偽の説明を受けた」「不誠実な対応だ」などと訴える人がいることを委員の一人が明らかにした。 市教委側は速やかに公表しなかった理由を「捜査が継続していて警察からの広報がなかった」と説明。だましたわけではないと言いたいのか、「体調を崩していたのは事実」との釈明もなされた。 だがそれは、生徒や保護者に寄り添った判断だったのか。 ■機械的に消極判断していないか

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