韓国政府、米国拘禁の労働者の人権侵害、全数調査へ…「米国側に必ず問題提起」

韓国外交部は、米国当局に拘禁され、先日釈放された316人の韓国人労働者に対する人権侵害が波紋を広げていることについて、追加調査の意向を表明した。 外交部の当局者は15日、記者団に対し、「領事が面接を行い、当事者たちにどのような不快な出来事があったのか、どのようなことを改善すればよいのか、積極的に聞き取った。体調が悪くて薬が欲しいという方には薬をあげ、電話で話すことを希望する方々には電話をかけるなど、可視的な措置は取った」として、「その他に人権侵害に関する部分は今も継続して整理中」だと語った。 米国移民・関税執行局(ICE)によって拘禁され、12日に帰国した韓国人労働者たちは、拘禁施設内での人権侵害を積極的に証言している。彼らは「ミランダ警告」などの基本説明もされずに逮捕され、人の視線を避けるもののないトイレで用を足さなければならないなど、劣悪な環境で過ごしたと証言している。また、東洋人蔑視の意味を持つ目をつり上げる行為を拘禁施設内でされるなど、人権侵害も起きたという。 外交部は、領事が拘禁者と面接した際にはこのような証言はなかったと述べつつ、当時の交渉は迅速な帰国に焦点が合わされていたと釈明した。そして「韓国側から、不法があったかどうかなど、人権侵害かどうかを長々と判断していたら、早期出国に問題が生じる恐れがあったので、(ひとまず)早期に出国して(人権侵害については)ファクトファインディングにもとづいて、必要な問題提起はその後に行うというのが交渉の目的だった」と語った。 拘禁者に対する人権侵害問題を糾明するために、ひとまず労働者が所属する企業を中心として全数調査が行われる計画だ。政府は、必要なら直接話を聞くとの立場だ。外交部の当局者は「この問題を『禍を転じて福と為す』ことの契機にするために、様々な事例を記録しようと考えている」とし、「米国側との協議を機に、この問題(人権侵害)について必ず話し合う」と述べた。 一方、外交部は、対米投資企業のビザ問題を解決するため、韓米共同の作業部会(ワーキンググループ)設置も急ぐ計画だ。外交部の別の当局者は「外交部と米国務省が中心となって、関連省庁がすべて参加する作業部会を構想中」だとして、「米国は法の執行機関が多いだけに、韓国は関係省庁がすべて参加する作業部会を推進しており、そのような方向で実務協議が進められている」と語った。外交部は、帰国した拘禁者が所持する短期商用ビザ(B-1)は今回の拘禁で無効にならないとすることで韓米で合意していると補足した。 ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ [email protected] )

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