「目の前にあるのは丸いケーキの絵です。これを3等分してみてください」 さて、あなたならどう切り分けますか? 質問の意図を考えれば、中心から放射線状に線を書いて3等分するだろう。 しかし、少年院に入ってくる少年たちには、適切に3等分することが出来ず、タテに直線を2本引いてしまう例もあるという。 このことを新書『ケーキの切れない非行少年たち』で世間に知らしめたのが、児童精神科医の宮口幸治氏だ。 同書は現在の基準では知的障害とまでは言えないが、知能指数で言えば70〜84程度の「境界知能」、学校・社会で気づかれてこなかった軽度知的障害に当てはまる非行少年を取り上げた一冊で、コミック化もされている。 今回、同書をコミック化した『ケーキの切れない非行少年たち』の11巻の刊行に合わせて、医療少年院や女子少年院で数多くの少年たちと向き合ってきた宮口氏に、これまでの経験で得てきたことやコミック作品にした想い、子育てに悩む家庭へのアドバイスを聞いた。