6月に本部長訓戒を受けた和歌山県警の男性警視の処分理由が22日、和歌山市の違法風俗店の経営者との交際だったことが県警への取材で明らかになった。警視は訓戒後に依願退職した。関係者によると、性的なサービスの提供を受けていたという。県警は「規制対象業者」との不適切な交際を理由に警視を本部長訓戒にすると公表していたが、警視と性風俗店との関わりについては明かしていなかった。 警視は和歌山北署長などを歴任し、2024年から県警警務課長を務めた。本部長訓戒を受けて依願退職した。 この日、取材に応じた県警の野本靖之本部長は不適切な交際を認めた上で「誠に遺憾」とし、「綱紀粛正と真摯な職務につとめ、県民の信頼回復に努力してまいりたい」とした。また、木村充次首席監察官は、元警視が性風俗店を利用してきたことを認め「国民に疑念を抱かれる交際だった」とした。 関係者によると、県警は贈収賄罪などを視野に双方を聴取したが、経営者への情報提供など「犯罪行為に当たる事実はなかった」と判断した。 県警は5月、スカウトグループ「アクセス」を捜査する警視庁などによる合同捜査本部からの情報提供を受けてこの風俗店を捜索。経営者は売春防止法違反(場所提供)容疑で逮捕・起訴され、今月、執行猶予付きの有罪判決を受けた。その捜査の過程で元警視との関わりが判明した。 この問題を巡っては、週刊文春電子版が17日、元警視から「タカリを受けてきました」とする経営者の証言を掲載。元警視が性風俗店から繰り返し無料サービスを受けていたと報じた。 経営者は毎日新聞のこれまでの取材に対し、元警視と2017年ごろに知人を介して知り合ったとした。元警視から「あなたのところは立場が弱いよ。いつでも挙げようとすれば挙げられる(立件できる)」という趣旨の話をされ、繰り返しの求めに応じて無償でサービスを提供したと証言。少なくとも20~30回に及んだとし、経営者は「機嫌を損ねたら立件されるのではという恐怖があった」と話したが、元警視は毎日新聞の取材に対して、経営者との関わりについては「居酒屋に一緒に行っていただけ」とし、性的なサービスを受けたことも認めていなかった。