中学校の補助教員採用の際に偽造された教員免許状の写しを提出したとして、福岡県警粕屋署は13日、同県須恵町立須恵中の補助教員、近藤正仁容疑者(66)=同県宇美町=を偽造有印公文書行使容疑で逮捕した。捜査関係者などによると、過去に教員免許を失効した状態で埼玉や群馬の小中学校などでも勤務していたとみられる。同署は教員免許状が偽造された経緯についても捜査している。 今回逮捕された近藤正仁容疑者は性暴力で教員免許を失効された過去もあったが、改姓を繰り返し、各地で教壇に立ち続けていたとみられる。識者は「同様のすり抜け事例は相次いでおり、抜け穴をふさぐ議論を急ぐべきだ」と警鐘を鳴らす。 2022年施行の教員による児童生徒性暴力防止法は、子供へのわいせつ行為などで懲戒免職になり免許を失効した元教員の復職を厳しく制限。23年4月に「特定免許状失効者管理システム」の運用が始まり、教育委員会や学校法人は教員任命時に失効歴を確認することが義務付けられた。 文部科学省は、改姓などによる意図的なすり抜けを防ぐため、教員免許取得から一定期間が経過した人を採用する際は大学の卒業証書など複数の書類でチェックするよう各市町村教委などに通知していたが、今回は機能しなかった。 子供への性犯罪防止に取り組むNPO法人「シンクキッズ」(東京都千代田区)代表理事の後藤啓二弁護士は「意図的に偽られた身分を全て見抜くのは困難。職員の人手不足などもあり、細かなチェックを自治体任せにするのも限界がある」と指摘。26年12月に性犯罪歴の確認を事業者に義務付ける「日本版DBS」の運用が始まるのを前に「氏名が変わっても漏れなく把握できるような仕組みを構築すべきだ」と話す。【平川昌範】