アメリカ、ヴェネズエラ沖でまた船を攻撃 6人死亡

アイオーニー・ウェルズ南米特派員、ナディーン・ユーセフ記者 アメリカ政府は14日、ヴェネズエラ沖で再び船を攻撃し、6人を殺害した。ドナルド・トランプ大統領は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、この船が「麻薬テロリスト」に属しており、「麻薬を密輸していた」と発表した。 トランプ政権によるこうした攻撃は今回で5回目。いずれも国際水域で麻薬密輸の疑いがある船舶を標的としている。9月以降、これまでに27人が殺害されたと報じられているが、アメリカは船舶の詳細や乗船者の身元について証拠や情報を提供していない。 一部の法律専門家は、アメリカが国際法に違反していると指摘している。コロンビアやヴェネズエラなどの周辺国も、この攻撃を非難している。 トランプ氏は「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「この船舶が麻薬を密輸しており、違法な麻薬テロ組織と関係していて、密輸に使われる既知の航路を航行していたことを情報機関が確認した」と述べた。 また、空中監視による映像も投稿しており、水上の小型船がミサイルによって攻撃され、爆発する様子が映っている。 トランプ氏は、乗組員の国籍や、所属しているとされる麻薬密輸組織については明言していない。一方で、米軍関係者に負傷者は出ていないと付け加えた。 一連の攻撃をめぐっては最近、米連邦議会に送付されたとされる内部文書が流出した。米メディアは、トランプ政権はアメリカが麻薬カルテルとの「非国際的な武力紛争」にあると判断したと報じている。 アメリカはまた、複数の軍艦をカリブ海に展開している。 アメリカは、麻薬密輸の疑いがある船舶に対する攻撃を自衛措置と位置づけている。しかし多くの司法専門家が、このような軍事行動の合法性に疑問を呈している。 この状況を「武力紛争」として位置づけることは、トランプ氏にとって戦時権限の行使の正当化である可能性が高い。例えば、暴力的な脅威を示していない者を「敵戦闘員」として殺害したり、人々を無期限に拘束したりすることも、その対象に含まれる。 ヴェネズエラでは一部で麻薬密輸が行われ、これらの船舶が出港したとされる地域では一部のカルテルが活動しているのは事実だ。しかし、南米地域内の他の場所と比較すると、ヴェネズエラは麻薬密輸の主要拠点とは見なされていない。 そのため多くの人々は、今回の攻撃がヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に軍事的圧力をかけるための広範な政治活動の一環だと考えている。 この攻撃は、アメリカがマドゥロ氏の麻薬密輸容疑での逮捕につながる情報に対して5000万ドル(約75億6000万円)の報奨金を提示したと発表した後に行われた。マドゥロ氏の大統領選出は国際社会の多くから認められていない。 ヴェネズエラ政府は、最近の攻撃に対して怒りを示している。 マドゥロ氏は、麻薬密輸に関与しているというアメリカの主張を否定。別の政府関係者は、トランプ氏が投稿した映像の信憑(しんぴょう)性に疑問を呈している。 (英語記事 US strikes another vessel off Venezuela coast, killing six)

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