韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領が昨年末に出した非常戒厳について捜査している特別検察官が15日、在任中に無人機(ドローン)を北朝鮮に向けて飛ばすよう指示し、北朝鮮側の挑発を誘導しようとした「外患」の容疑で尹氏を事情聴取した。 特別検察官は尹氏が昨年10月ごろ、韓国軍のドローン作戦司令部に指示して無人機を投入させ、北朝鮮を挑発することで非常戒厳を出す口実をつくろうとしたとみている。 尹氏は内乱などの罪に問われ公判中だが、これまでの逮捕容疑や起訴内容に外患は含まれていない。尹氏は7月に特殊公務執行妨害などの容疑で逮捕されて以降、特別検察側の取り調べに応じていなかった。そのため、特別検察側は裁判所に尹氏の拘束令状を請求。今月発付された令状を15日になって執行すると尹氏に伝えたところ、任意で出頭する意向を示したという。 特別検察側はこの日、外患容疑について本格的に聴取したが、弁護側によると過去の事情聴取の際に十分説明を尽くしたとして尹氏は供述を拒否したという。韓国メディアによると、特別検察側は同司令部の幹部らにも聴取しているといい、尹氏の容疑が固まり次第、追起訴する方針だ。(ソウル=清水大輔)