尼崎市の男性(23)が連れ去られた後に暴行を受けて死亡し、高知県内に遺体が遺棄された事件で、兵庫県警に逮捕された男らの一部が、男性に危害を加えた目的について「盗難に遭ったと思い、被害品の所在を自白させるためだった」という趣旨の供述をしていることが15日、捜査関係者への取材で分かった。県警は男性が3時間超にわたり激しい暴行を受けた後に放置され、死亡したとみている。 神戸地検は同日、殺人容疑で逮捕された4人のうち、大阪府能勢町の指定暴力団東組系組員三谷晃平容疑者(27)▽大阪府和泉市の無職畠山琢磨容疑者(33)▽堺市中区の無職江口雄星容疑者(26)-を、傷害致死罪で起訴した。殺意の認定は困難と判断したとみられる。尼崎市の無職男(19)は家裁送致とした。 捜査関係者によると、暴行の現場となった能勢町の民家から、男性のDNA型と一致する血液が検出された。民家は壁紙や床板がはぎ取られ、はがした部材を処分した痕跡が伊丹市内で見つかった。県警は証拠隠滅を図ったとみている。一方、被告らが事件の原因とする盗難事案について、県警は「確認されていない」としている。 男性は6月11日夜、尼崎市大物町1の路上で無理やり車に乗せられ、行方不明になった。県警は7月以降、無職桜本哲也被告(34)=逮捕監禁罪で起訴=ら計12人を逮捕。うち4人を殺人容疑で再逮捕していた。 遺体は複数の車で会社員大坪美砂被告(28)=死体遺棄罪で起訴=が住む高知県へ運ばれ、山中に遺棄されたとされる。遺体には切断された形跡があった。 起訴状によると、三谷被告らは6月11日午後9時半~12日午前0時50分ごろ、尼崎市の路上や能勢町の民家などで男性に殴る蹴るの暴行を加え、果物ナイフのような刃物で左太ももを刺して死亡させたとされる。