国内最大とみられる特殊詐欺の口座ブローカーが摘発された事件で、逮捕されたトップの西川悠輔容疑者(32)は、口座売買の「闇バイト」を経て、約3年前に自身のグループを立ち上げていたことが17日、愛知県警や警察庁への取材で分かった。 グループはわずかな期間で最大勢力に拡大し、特殊詐欺グループに犯罪収益の受け皿となる口座を仲介していた。警察当局は、西川容疑者らが抜けた穴を埋める形で新たな勢力が台頭する恐れがあるとして取り締まりを強化している。 西川容疑者は、福島県の30代女性から口座情報がひも付いたスマートフォンを譲り受けた犯罪収益移転防止法違反などの疑いで、主要メンバー6人と共に逮捕された。「同じようなことをしたことがあり、今回の件もその一つだと思う」と容疑を認めている。 愛知県警サイバー犯罪対策課などによると、西川容疑者はかつて、闇バイトで口座を売っていたが、約3年前に独立。闇バイトのリクルーター約150人を従え、「日本最大の口座仲介業者」と称していた。 特殊詐欺グループとの取引は5月以降だけで約600件確認され、金融機関口座584件、暗号資産(仮想通貨)アカウント364件が転売されていた。売却先は中国系も含まれ、投資詐欺や警官成り済まし詐欺などに使われたとみられる。